新たなる求婚者?
ごきげんよう。
私の名前は、メアリー・フェリシテ。
勇者が興したとされる国、シャーユ王国を代々支えてきたフェリシテ公爵家の長女。
今はウィーリング学園の一年生で、ノブレス・オブリージュを理念とし、日々勉強を頑張っています。
え?なんでそんなに丁寧なのかって?
何をおっしゃっているのやら…私は元から淑女ですよ?
丁寧なのは当たり前のことなのです。
なに?前まではもっと口悪かった?
いや、だってそれは魔王が………………いえ、なんでもありません。
そんなことより聞いてください。私は今、非常に困っているんです。
そして、その原因は今、目の前にいます。
「メアリー嬢。この僕と結婚してくれないか?」
なんと、新たなる求婚者が現れたんです。
「えっと……私、ですか?」
「そうとも!メアリー・フェリシテ公爵令嬢。僕と結婚してほしい!」
跪き、大きな薔薇の花束を私に差し出しながら求婚してくるこの人は、この国の第一王子、セルパン・ソル・シャーユ殿下。
もみあげを耳の上で真っ直ぐに切り揃え、襟足を少し刈り上げたテクノカットスタイルで、もちろん王族なので金髪だ。
そして、王族の象徴である金の瞳も顕在。
顔も十分に整っているが、どこか胡散臭さが拭えない、詐欺師のような雰囲気が漂う残念イケメンだ。
第一王子ではあるが、シャーユ王国は世襲制なので、王に認められなければ次の王にはなれない。
その上、自身の弟であるレオン殿下の方が民衆からの人気も高く、勉学、剣術、魔法、どれをとってもレオン殿下を超えることができなかった。
そのため、王族の地位を利用して一部の貴族たちから後ろ盾を得ているという話は聞いたことがある。
レオン殿下に対するコンプレックスも相まって血筋や家柄を大事にしており、特に自身の後ろ盾になってくれそうな有力な貴族には自ら声をかけ、取り込もうとよく画策している。
そんな中、公爵家ではあるが無色である私と仲良くしても何の旨味もないと判断したのか、今まで見向きもしてこなかったはず。
それが一転、急に話しかけてくるどころか求婚してくる始末。
無色である事実は変わらないのに、何故私なんかに求婚をしてくるのだろう?




