レオン殿下はひた隠す
俺の名前はレオン・ソル・シャーユ。
勇者が興した国、シャーユ王国の第二王子である。
王子としての責務を果たすため、日々鍛錬と勉強、さらに人脈づくりと毎日忙しくさせてもらっている。
そんな俺だが、未だかつてないほどに悩んでいることがある。
それは……
「絶対にメアリー嬢とルナに魔族のことがバレてはいけない……」
今、俺たちはシルトたちと合流し、入口に帰還している真っ最中だ。
その中で俺はだいたい中間くらいの位置を歩いている。
先頭はシルトたちと半分の小隊が。
もう半分の小隊が殿を務めてくれている。
ちなみに、メアリー嬢とヴィサス嬢は少し先の方を歩いているので近くにはいない。
「突然話しかけることをお許しください。レオン殿下、お顔の色が悪いようですが、どうされましたか?」
「ヴィサス嬢?」
そのとき、心配をしてくれたのか、ヴィサス嬢が俺に声をかけてきた。
「心配かけてすまないな。だが、これは体調が悪いわけではないから心配しなくていいぞ。心遣いには感謝する」
「それはよかったです。メアリー様に、レオン殿下が体調悪そうだから少し様子を見てきたらどうかと言われて、心配になってこちらに来たんです」
なるほど、ヴィサス嬢がこちらに来たのはメアリー嬢が勧めたからのようだ。
気づいた割には本人が来ない辺り、メアリー嬢らしいと言えばらしいか。
もしくは、ヴィサス嬢と二人にさせたかったとか?
…フフ、さすがに考えすぎか。
でも、今は都合がいい。
「ヴィサス嬢。実は話しておかないといけないことがあるんだ」
「はい、なんでしょう?」
「実はな…………」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「それは……確かに、とても危険な状況ですね…」
「ああ、だから各公爵家には、ルナの存在を伝えると同時に、魔族のことをルナに気づかれないように協力を申し出ようと思う」
「はい、その方がいいでしょう。私も全面的に協力します」
「ありがとう。幸いなことに、メアリー嬢には魔族に対してさほど興味がないみたいだ。普通、公爵家の生まれなら知っていてもおかしくはないんだが…フェリシテ家の方針か何かか。でもまあ、そのおかげで俺たちは助かったというべきだろうな…」
「私も、歴史については存じていますが、まさかそこまで歪められているとは…」
「ああ、俺たちが学んできた歴史では、勇者は魔王に呪われて若くして亡くなったことになっている。しかし、ルナの話では…」
「勇者に呪いをかけるどころか、むしろ自ら犠牲になっています。しかも、勇者様と約束された上でのことです」
改めて確認しても頭が痛い話だ。
思わず、大きいため息が出る。




