降臨 21
「ふぅ、ふぅ…なんて凶暴な女だ…」
「あ?何か言いましたか?」
「いえ、何も……」
「…傍から見るとなんとも奇妙な光景だよな」
痛がったり怒ったり怯えたり。
それを全部同じ顔でするものだからどうしても不思議な感じがする。
「あ、そうだ!レオンに聞きたいことがあったのだった!」
「聞きたいこと?」
「そうだ!妾がいなくなってから他の魔族たちはどうなった?妾の生まれ変わりはその辺興味ないのか、ちっとも知らんのでな!」
「だって、実際興味ありませんし…」
「普通、自分の前世に関わることなら気になるものだ!…って、それはこの際もうよい!こうして自分で確かめられるからな!ということで、どうなんだ?」
真剣な表情の魔王。
これはよほど気になるらしい。
「魔族のこと?何故そんなに気にするんだ?」
「何故?そんなもの、勇者が約束したからに決まっておろう。そのために妾は犠牲になったのだぞ?こうして今ははっきり意識があることだし、知りたくなるのも当然であろう」
「…勇者様が?なんて?」
「ん?妾が犠牲になる代わりに魔族たちを守ってくれると勇者が約束してくれたのだ。まあ、さすがに知性がなく、凶暴なものは会話ができぬから仕方ないが……それ以外は守ってくれるとな」
「…え、そんな、まさか……俺が知っている歴史と違う……」
あれ?なんだかレオン殿下の顔色が悪い。
最後もボソボソと言っていてなんて言ってるか聞き取れなかったし。
一体どうしたのだろう?
「で、で、結局のところどうなんだ?」
魔王は気づいていないのか、レオン殿下のことはお構いなしに詰め寄る。
「あー、えーっと……あ!そういえばお腹空かないか?安心したらお腹減ってきたなー」
…………なんか、露骨に話題を変えようとしている。
それにしても、レオン殿下は演技がへ……あまり得意ではないらしい。
さすがにこれは魔王も気づくはず……
「お腹?ああ、確かに空いたと言えば空いたな。今の時代は何が美味しいのだ?」
……どうやら魔王は馬鹿だったらしい。




