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降臨 19

「というか、なんで呼び捨てなんですか?ちゃんとレオン殿下と呼んでください」


「何を言っているのだ?妾は魔王ぞ?一番偉いに決まっておるであろう」


「あー、はいはい、そうですか」


「……あの…ちょっといいか…?」



申し訳無さそうに話しかけてくるレオン殿下。



……あ、自分たちの世界に入りすぎて二人を放置してた。



「ど、どうされました?レオン殿下」


「いや、魔王に聞きたいことがあってな」


「妾に用か?レオン」


「こら!呼び捨てにしたらいけません!」


「いや、気にしなくていい。あなたは魔王なのだから俺たちに気を使うことはない。話しやすいようにしてくれた方が嬉しい」



レオン殿下は気にしていないのか、呼び捨てにされても至って普通のご様子。



「そ、そうですか?レオン殿下がそう言うならいいんですけど…」


「ほれ!見たか!これが本来の姿だ!妾は敬われるべき存在なのだ!」


「はいはい、わかりましたから。レオン殿下、お話とは?」


「……なんだか頭がおかしくなりそうだな…」



いくら目の色が変わるとはいえ、同じ顔と身体で性格の違う二人がコロコロと入れ替わりながら話すと、頭が混乱してしまうみたいだ。


レオン殿下も、思わず目を伏せて右手で頭を抱える。



「まあいい。それで聞きたいことなんだが、メアリー嬢は魔王と一体どんな関係なんだ?」


「妾と?んー、そうだな…簡単に言えば、こやつは妾の生まれ変わり、だな」


「生まれ変わり?メアリー嬢が魔王の…だが、その割には意識が完全に分かれているようだが?」


「たぶん、妾が特別だからだろう。記憶も全然引き継げておらぬし、魔法もてんで話にならん。もはや別個体だな」


「なんですか?それは私が落ちこぼれだって言いたいんですか?」


「事実そうではないか。妾の生まれ変わりだというのに情けない限りだ」


「この…っ!言わせておけば!」


「まあまあ、メアリー嬢一旦落ち着いて…」



おっと、いけないいけない…

レオン殿下に気を使わせてしまった。

心を落ち着かせて精神統一……



「まあ、曲がりなりにも妾の生まれ変わりなのだから、もう少し頑張ってほしいものだな」


「うがーっ!もう許さん!潰す!」



こんなの我慢できるか!

戦争だ戦争!

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