降臨 16
「さあ、終わりのときだ」
全ての光が一つに集まる。
その大きさは、キングゴブリンなど優に超えて山をも呑み込むほど。
空は完全に暗雲で闇に閉ざされ、その闇を唯一の巨大な光が辺りを照らし出す様は、まさに壮観の一言に尽きる。
「以前のそなたに敬意を表し、一撃で終わらせてやる」
光が、少しだけ闇の中から顔を出す。
その様子は、まるで闇の中から希望の光が降り注ごうとしているようで見るからに神々しい。
そして、天からの裁きが下される。
「____エレクトール____」
その瞬間、世界から音が消えた。
眩い光の奔流が、キングゴブリンを包み込む。
「__ああ、これが我の求めた本物のカ____」
そんな呟きと共に光に呑み込まれていった。
____シュウゥゥゥゥゥゥ…………
そこには何もなかった。
光が落ちた場所は、まるで世界が切り取られたかのように何も無い。
真っ暗な空洞になっていた。
穴の中は底が深すぎて全く見通すことができない。
「なんだこれ……こんなの人間が出していい威力じゃないぞ……」
「これが…魔法の頂点……」
はるか上空に避難させていた二人が、思わず呟く。
二人を近くに引き寄せた。
「待たせたな。少し地形が変わってしまったが、そこは許してくれ」
「あ、ああ……」
「うむ。それでは、降りるとしよう」
穴の外縁部にゆっくりと降りる。
そして、障壁を解除した。
大雨も、雨雲を散らしておいたのでもう止んでいる。
「さて、約束のときだ。そなたたち、また会えたらいいな」
目を閉じる。
厳かな雰囲気だったものが、徐々に変わっていく。
そして、再び目を開く。
その時には、すでに瞳の色も元に戻っていた。
「……んー、なに?朝、ですか?」
まるで寝起きかのように目を瞬かせる。
「……もしかして、メアリー様?」
「ん?そうですけど…ここはどこ?」
「ここは外ですよ。メアリー様」
「そっかぁ……って、キングゴブリンは!?」
ようやく覚醒した。
辺りをしきりにキョロキョロと見渡す。




