降臨 9
「ワハハハハ!力が漲る!今ならなんだってできそうだ!」
全てのゴブリンたちを吸収し終えたキングゴブリンは、もはや別物へと変貌していた。
身体は三倍の大きさにまで膨れ上がり、肩から腕にかけて棘のようなものが、ふくらはぎからは鎌のようなものが生えている。
さらに顔面の皮がところどころ破けていて、内側から黒い何かが見え隠れしている。
「もう我は負けぬ!お前にも!誰にも!我を見下すことはできない!」
ウオオオオォォォォッ!!!
キングゴブリンは急に雄叫びを上げる。
それは衝撃波となり、辺りに広がると部屋全体にヒビが入ってしまった。
壁が、大地が震える。
「もうこんなところに隠れておく必要もない!この力があれば世界も統べることができる!まずは手始めにお前たちがいた国から潰してやろう!」
バキバキッ!ガラガラドシャッ!!
ヒビがさらに大きくなり、ついに部屋が崩れ始めた。
「……ふむ、とりあえず…」
「きゃあっ!」
「な、なんだ!?」
妾は、二人を包んでいる障壁ごと空中に持ち上げる。
そのまま、妾の近くに寄せた。
「このままだとこの部屋が崩れそうだからな。近くに置かせてもらうぞ」
「「は、はぁ……」」
風魔法も使わずに、空中にいることが何故なのか見当もつかないのだろう。
2人共妾が言った言葉に生返事するばかりで、ずっと目を白黒させている。
ゴゴゴゴ…!
ガラガラガラッ!
部屋の崩壊が進んでいる。
もうじき、この部屋は瓦礫で埋め尽くされるだろう。
そろそろ、外に出ることも考えねば。
「ハハハハハハッ!ワハハハハハハッ!」
そんな中、いまだに笑い続けているキングゴブリン。
完全に力に呑まれている。
もう、以前の精神状態ではないのだろう。
どんどん、瓦礫がキングゴブリンの周りを覆いつくしていく。
「……哀れな…」
妾はそれを一瞥し、二人を包んだ障壁ごと崩れゆく天井に向かった。




