降臨 6
「あれは…雷、なのでしょうか……」
「…雨が大量に降ったときにたまに落ちてくるものと似ているな。あれは自然そのもので、人の身で操れるものではないはずなんだが…属性魔法にも雷はないしな」
「しかし、あまりにも似ています。というか、雷そのものな気が…それに風魔法の気配もないのに空中に浮かんでいますし…でも、確かメアリー様って_」
「ああ、無属性魔法以外には使えないはずだ。本人もそう言っていたしな。それで思ったんだ。あれは本当にメアリー嬢なのか、と」
「それは、なんとなくわかります。雰囲気が全然違ってて…でも、見た目は紛れもなくメアリー様ですよ?」
「ああ、そうだ。そこで俺はある可能性を思いついた。これも王宮の図書館に記されてた文献に書いてあったことなんだが、これが事実ならとんでもないぞ」
「え?それは一体どういうことなんですか?」
「ああ、それはだな____」
チラッと横目で見てみると、何やら、妾が張った障壁の中で男と女がコソコソと何か話している。
「おい、よそ見をしている場合か?」
そこに、妾に向かって岩が飛んでくる。
どうやら、キングゴブリンが近くの岩を引き抜いてこちらに投げてきたようだ。
妾はそれを空中で身を翻して避ける。
「すまない、退屈させてしまったようだ。そら、もっといくぞ?」
両手から、さっきの倍の数の雷のようなものがキングゴブリンに襲いかかる。
「ぐっ!このっ!少しは加減しろ!」
「ハハハ!ほらほら、どうしたどうした?まだまだ始まったばかりだぞ?」
キングゴブリンは、当たりそうなのだけ弾きながら走り回って避ける。
それを見て、高笑いしながらまるで遊んでいるかのように攻撃を放つ。
これでは、どちらが悪者かわかったものじゃない。
「このっ!舐めるな!」
キングゴブリンの目の前に、巨大な土の壁が現れる。
無詠唱の土魔法だ。
土の壁を這うように雷のようなものが通り、土が焼け焦げていく。
そして、それを盾に新たな魔法を唱える。
「ソーン・ガイア!」
何ヶ所もの地面が盛り上がり、それがそのまま巨大な棘となって妾に襲いかかる。
それを妾は、ひらりひらりと空中で避ける。




