人類 VS 不死者 3
「現在も依然として不死者の軍勢による侵攻は継続しており、その勢力はますます拡大しております。このままではいずれ前線が保てなくなり、シャーユ王国内へと攻め込まれる可能性が大きいと思われます」
幹部の一人は最後にそう締めくくる。
それを聞いて俺は小さく頷いた。
「やはり、俺たちだけではきついか…ならば冒険者組合、それと他の三つの国への協力要請はどうなっている?」
「はっ。冒険者組合はすでにシャーユ王国からの協力要請を受諾しております。現在はすぐに動ける冒険者たちに呼びかけ、呼びかけに応じた冒険者たちはシャーユ王国に合流後、我々の指示に従い不死者討伐任務を遂行しています。しかし、急な協力要請だったこともあり冒険者たちの数は少なく、不死者に有効な魔法や能力を持つ者も少ないため、前線を押し返すほどの余力はない模様です」
「そうか…仕方ない。冒険者組合、及び討伐任務に参加した冒険者たちには十分な謝礼を用意すると伝えてくれ」
「はっ。承知しました」
先ほどとは違う幹部が説明してくれる。
その内容はあまり芳しくなく、現状を打破するには至らないとのことだった。
期待していたぶん残念だが、こればかりはしょうがない。
それに、緊急でお願いしている立場な上、不死者討伐という危険極まりない依頼を受けてくれた冒険者たちには、感謝こそすれ不満などあろうはずもない。
冒険者組合と協力してくれた者たちには謝礼を十分に用意すると伝えさせ、次に進む。
「冒険者組合の件は分かった。他に協力要請をした三つの国はどうなっている?」
「はっ。まずは協力要請した国の一つ、ヘルメス国について報告します」
さらに違う幹部が説明を始める。
それは、協力要請をした三つの国の一つ。
ヘルメス国についてだった。
「ヘルメス国は会議が始まる直前に協力要請を受諾したとの報告が入りました。現在は被害地域に最も近い東街に戦力を集結させており、準備ができ次第不死者討伐に出撃するとのことです」
「お!それは良かった!」
ヘルメス国の協力があれば、さらに前線を押し上げることも出来るだろう。
しかし……
「まだ、ヴィサス嬢とイーリス嬢は戻ってきていないのだろう?」
ヴィサス嬢たちに付いていた側近二人からの連絡により、二人がメアリー嬢を追いかけて遠い北に向かったことは知っている。
二人がいれば心強かったのだが……
「その件についてですが、ヘルメス国から返答があった際一緒に報告がありました。二人は無事に帰還。ヘルメス国の兵士たちと共にこちらに向かってくるようです」
「おぉ!ということはもしかして…!」
ヴィサス嬢とイーリス嬢は、メアリー嬢を追いかけていたはずだ。
それが帰ってきたということは、メアリー嬢ももしかしたら…!
「しかし、報告によると【魔王追跡作戦】はまだ完了していないようです。その道中に不死者の軍勢による襲撃の話を聞きつけ、急いで戻ってきたとのことでした」
「そ、そうか…まあ、考えてみれば当然か…」
「……?どうかしましたか?」
「…いや、期待する方がおかしかったな。気にしないでくれ」
「は、はっ。承知しました」
どうやら、メアリー嬢はまだ戻ってきていないようだ。
もしかしたら、シャーユ王国のピンチに手助けしてもらえるかもと一瞬頭をよぎったが、よく考えたら我々がメアリー嬢を追い出したも同然。
そんな中助けてもらおうなど厚顔無恥も甚だしい。
メアリー嬢のことは忘れ、頭の中を切り替える。




