人類 VS 不死者
「おい!薬だ!薬を持ってこい!」
「救護班はまだか!?重傷者の手当てを頼む!」
「急患だ!道を空けてくれ!」
__ここはとある軍事基地。
その中にある救護施設は、今も尚怪我人が次から次へと運ばれてきていた。
救護施設内にある病床はすでに満員。
それでも運ばれてくる怪我人の数が減ることはなく、やむを得ず床の上で治療している人も少なくない。
「__く…っ!」
「「レオン殿下っ!」」
そこに俺__レオン・ソル・シャーユも手当てを受けるために救護施設にいた。
「お気を確かに!まだ間に合います!」
「もう少しで右腕が繋がります!諦めないでください!」
俺が信頼する側近と、救護班の一人がそれぞれ俺を励ます。
先の戦闘で重傷を負ってしまった俺は、側近に連れられて近くの救護施設に運ばれてきたのだ。
そして、側近の迅速な支援と救護班の一人の尽力により、俺の右腕は何とか失わずに済んだ。
__今、その右腕が俺と繋がるのを感じた。
「……ふぅ、何とか峠は越えました…ですが、今は何とか繋がっているだけの状態ですので、ここからは状態が安定するまで安静にして__」
「いや、大丈夫だ。ありがとう。それでは今から作戦会議をやるぞ…!うっ…」
失礼と分かりつつも急いでいた俺は、救護班の言葉を遮るとお礼の言葉を言ってすぐに立ち上がる。
その際、急に動いたからか繋がった右腕の付け根から鋭い痛みが走り、思わず声が漏れる。
「なっ!む、無茶です!まだ右腕は繋がったばかりなのですよ!?」
「そ、そうです!救護班として、そのようなことを許す訳にはいきません!」
二人が、俺が救護室から出て行こうとするのを止めるように立ち塞がる。
「……どけ。二度は言わんぞ?」
「なりません!今のレオン殿下は重傷なのです!ここで無理に動いては傷が開いてしまいます!」
俺が凄んでみせても側近は退くことはしなかった。
よく見ると、その目から本気で俺の身体を心配していることが伝わってくる。
俺は小さく息を吐くと、改めて側近を見据えた。
「……確かにお前の言いたいことは分かる。本来なら腕が定着するまで安静にしておかなければならないのだろう」
「な、ならば…!」
「…しかし、周りをよく見てみろ」
俺が視線を動かすのに合わせて、側近も周囲を見渡す。
「ふぅっ…!ぐっ!あぁっ…!」
「頑張れ!もう少しの辛抱だ!」
「はっ…!はっ…!はっ…!はっ…!」
「血が足りない…!輸血だ!こいつに合う血を持ってこい!」
「………………」
「俺じゃ無理だ!一番腕の立つ回復魔法師を呼んでこい!間に合わなくなるぞ!」
そこには今も尚重傷で苦しみ、喧騒とした光景が広がっていた。
どこもかしこも重傷者で溢れかえり、苦しみにあえぐ声とそれを必死に助ける救護班の人たちで騒然としている
「……これを見ても悠長に寝ていられると思うか?」
「レオン殿下……」
この痛ましい現状を目の当たりにして、それでも仕方ないと割り切れるほど俺は非情にはなれない。




