本物の竜 28
「__あの、メアリー様…?」
「おや?どうされました?」
そのとき、スターシが少し困った様子で私に聞いてくる。
「いえ…あれからだいぶ話が脱線しているようですし、そろそろ話を本題に戻されてはどうかと思いまして…」
「…………あ」
そうだった。
ここに来たのは、この竜が何故目覚めたのか聞くためだった。
いつの間にか変態たちのペースに乗せられて、危うく忘れるところだった。
「……ん?何か我に用か?」
そんな私たちの様子に気がついたのか、マルダの方から尋ねてきた。
「いえ、そういえば私たちがここに来た理由を思い出しまして」
「ほぅ、それで何だったのだ?」
「急に貴方が目覚めたのでその理由を直接伺おうかと思ったのです」
私がそう答えると、マルダは不思議そうな表情になった。
「ん?それはおかしいな。我も何故目覚めさせられたのか聞こうと思い、近くにいるお前たちを呼んだのだぞ?」
「……え?」
目覚めさせられた…?
「い、一体どういうことですか…?」
「どういうことも何も、我が最初に言ったではないか。我はまだ目覚める予定ではないはずだ、と」
「……あ」
確かに、最初の方で言われていたような気がする。
しかし、あのときはマルダによる目覚めの臭気ブレスを浴びせられていたので、それどころではなかった。
そんな中言われたことなど、記憶に残るはずがない。
「どうやら劇物を浴びせられて記憶が飛んでいたようです。今思えば、言っていたような…気がしなくもなくもありません」
「劇物……」
何やらマルダがショックを受けているような顔をしているが、何かあったのだろうか?
「……ま、まあいい。我は寛大だからな。それで、何故我は目覚めさせられたのだ?」
「知りませんよ。そもそも私たちは本当に竜が存在することすら知らなかったんですから」
「我が本当に存在するか?そんなの、作ったお前たちが一番良く……」
「……?」
「いや、なんでもない。そういえば記憶がなくなっていたのだったな」
マルダが何か言いかけたが、私の反応を見て言うのを止めてしまう。
お前たちが作ったと言っていたが……もしかして、星の神のときの話だろうか?
つまり、マルダは神たちに作られた存在…?
「とりあえず、我は三神にある時が来るまでこの地で眠るように言われ、それ以来ずっとこの山の中で眠っていたのだ。だが、何故か我は目覚めさせられた」
「だから知りませんって。だいたい誰に目覚めさせられたと言うんです?」
「……こいつらだ」
その瞬間、地面がゴゴゴと揺れ始める。
地面の中を何かが突き進んでくる音が聞こえる。
そして、地面の中から何かが顔を出した。
「……それは…なんです?」
青白い顔に腐ったようにただれた肌。
「あ、不死者…!」
それを、スターシが信じられないものを見るような目で見る。
これが話に聞いた不死者…聞いていた話よりもっと気持ち悪い。
地面の中から出てきた不死者は一体だけではなく、何体もの不死者が姿を現した。
それらは地面から出てくると、マルダの隣に山のように積み上がる。
今はもう動く気配はない。




