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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 29

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本物の竜 26

「__なるほど。お前の言いたいことは確かに分かる。かつての自身の記憶に今の自分が塗り替えられてしまうかもしれないと恐れているということだな?」


「まあ……端的に言えばそうです」



恐れていると言われると、なんだか自分が小者だと言われているような気がしてちょっと引っかかるが、おおむねその通りなので言い返したくなる気持ちをグッと我慢する。



「いろいろと考えられることはあるが、結論から言うと【分からない】だな」


「分からない…ですか?」


「そうだ。この件に関しては情報が少なすぎる。一番手っ取り早いのは試しに力を吸収してみることだが、ほんの少しでも取り込むことで即座に自我に影響しないとも限らない。故においそれと試す訳にもいかないから確認のしようがない」


「まあ、それはそうですね」



マルダの言う通り、安易に試して自我が崩壊しましたーでは話にならない。


私は今の私を捨てる気は毛頭ない。


つまり、力と記憶は諦めるしかないということだ。



「……すみません、メアリー様…メアリー様のことも考えずに好き勝手言ってしまって…」



そして、ルミナスは自身の言動をかなり反省しているのか、本気で落ち込んだ様子で私に謝罪してくる。



「いいんですよ、ルミナス。ルミナスの気持ちも分かりますから」



そう、ルミナスは私の事情に思い至らなかっただけで決して私に消えろと言っていた訳ではない。


ただ、かつての主にもう一度会いたい一心だっただけなのだ


従って、無駄に罪悪感を感じる必要はない。



そう思い、もう気にしなくていいと(ゆる)しの言葉を口にすると、ルミナスは両目からポロポロと涙を溢れさせた。



「うぅ…ありがとうございます…!私、メアリー様に一生ついていきます…!」


「え、えぇ……まあ、気が済むまでくらいなら…」


「…っ!ありがとうございます…!絶対後悔させませんから…っ!」



どうやら私の言葉に心打たれたようで、一生ついていく宣言をされてしまった。


涙を流しながら私の腰回りに(すが)り付くように訴えかけてくるルミナスの圧に負けてしまい、思わず軽くとはいえ受け入れてしまう。


それを聞いてルミナスはさらに喜びに(むせ)び泣いた。


ときおりしゃっくり上げるルミナスの頭を優しく撫でる。



(でもそうなると、ルナにはなんて説明しましょうか……)



ルミナスの頭を優しく撫でながら、私はこれからのことについて少し考えていた。


今、ルナは私の奥深くでいろいろと試行錯誤しているらしい。


それも、自身の妹…おそらく星の神をどうにか復活させられないかを考えていると思う。


でも、私は私自身を失いたくないし、そうすると星の神は復活しない訳で……



(……どうにか、私と星の神をこう…上手いこと分けることは出来ないんですかね?)



可能かどうか分からないが、私と星の神が別々の存在として分かれることが出来れば、お互いに存在することが出来るのではないか?



(…その辺は、ルナが出てきてからおいおい考えることにしますか)



考えることが面倒になり、結論を先延ばしにすることにした。


どうせ今考えたところで、可能かどうかなんて分からないし。



それよりも、ルナが表に出てきたときになんて説明するかで悩む私なのであった。

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