本物の竜 25
「後は記憶を取り戻すだけですね!メアリー様!」
私が星の神の生まれ変わりだと判明してからルミナスの興奮具合が凄まじい。
痛っ…!気持ちは分かるがいい加減腕を離してほしい。
「記憶か。それなら星の神としての力を取り戻せばいいのではないか?この世界に散っているのだろう?」
マルダがそう提案してくる。
確かに、ルナの話ではこの世界に様々な形で散らばっていると聞いている。
マルダが言うには、力を取り戻せば自然と記憶も戻るのでは?ということだった。
「そういうことなら私がいっぱい持っていますよ!この秘密道具たちは全部、私が主様の力を集めて加工したものなんです!」
そう言って、ルミナスは例のお腹にあるポケットからいくつか道具を取り出す。
これ、元々星の神の力だったのか。
「それではメアリー様。早速__」
「いや、いいです」
ルミナスは秘密道具を私に手渡そうとしてくるが、私はそれを受け取ることをしなかった。
「__え?どうされました?」
そんな私の様子を見て、ルミナスはきょとんとした顔を浮かべる。
「……その記憶って、取り戻す必要あります?」
「…………」
私は、今一番思っていることを素直に口にした。
あまりに予想外だったのか、私の言葉を聞いてルミナスが少し固まる。
「……って、ええぇぇぇぇっ!!?な、なんでですか!?」
と思ったら、すぐに復活した。
そして私に問い詰めるかのように詰め寄ってきた。
「いやだって、力も記憶も必要とは思いませんし」
「それこそなんでですか!メアリー様は本来のお姿を取り戻すべきです!そして、あの憎き太陽の神に復讐を果たしましょう!」
「えぇ……」
憎き太陽の神って。
まあ、気持ちは分かるけど。
でも、必要ないと思った理由はそう単純な話ではない。
でも、その理由がなんだか独りよがりな気がしてちょっと話したくはなかった。
「いや、でもですねぇ…」
「なんですか!理由があるなら教えてください!」
誤魔化そうとするも、ルミナスは逃がしてくれない。
(…適当に誤魔化そうとしても、ずっと問い詰めてきそうですね……)
いくら逃げようとしても、ルミナスはずっと追いかけてくることだろう。
私は観念して、理由を話すことにする。
「その…ですね、もし…もしもですよ?」
「はい!もしも、なんですか?」
「その……もし、力と記憶を取り戻した場合、今の私はどうなるのです?」
「……あ」
私の言葉に、ルミナスは言葉を失った。
そう、私が気にしていることは、記憶と力を取り戻すことで今の私が消えてしまわないか、ということだった。




