本物の竜 23
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「__はー、酷い目に遭った…お前だけだぞ?竜である我にあのような手荒な扱いをするのは…」
「変態どもにはそれで十分です。若干一名は何故か喜んでいますが」
変態竜は殴られたことに不満を示すが、私はそれを容赦なく切り捨てる。
それとルミナスは、殴られてからずっと私に熱っぽいを視線を向けてくる。
いい加減止めて欲しい。
「__ハハハッ!この我にそのような態度をとったのは、三神以外ではお前が初めてだ!いいぞ!気に入った!」
「はぁ、そりゃどうも」
なんか知らんが気に入られたらしい。
変態に気に入られるなんて、同類と思われているような気がして少し……いや、かなり思うところはあるが、あんな変態でも強大な力を持つ伝説の竜である。
そんな伝説の竜を相手に、嫌だからといって敵対することを選ぶよりかは、多少我慢してでも気に入られている方が…こう……僅かにマシなのだ。
「いいだろう。お前のことも我の心の友になることを許そう。我のことは親愛を込めて、変態竜ア・ソーコガ・マルダ・シーと呼ぶことを許可し__」
「絶対嫌です」
そんな下品な名前を呼ぶなんて死んでも嫌だ。
あまりに嫌すぎて、思わず変態竜の言葉に被せてしまった。
「__フッ、ああ、皆まで言わずとも分かっている……我の名前のことだろう?」
「え?え、ええ……」
おや?私がなんで嫌がっているのか分かっているのか?
……あ、そうか。
先ほどルミナスにありとあらゆる知識を伝授してもらっていた。
ということは、自身の名前の裏の意味も理解したはずだ。
まあ、理解した上でまだあの下品な名前を名乗っているのはまあ…この際置いておくとして、それのおかげで私が何を嫌がっているのかが分かったのだろう。
これは、もしかしたら私たちに配慮して改名する可能性が微粒子レベルで存在する…?
「……ああ、名前が長すぎるというのだろう?もちろん分かっているとも」
「……………」
前言撤回。
この変態は何も分かっていなかった。
名前が長すぎるとか心底どうでもいい。
そんなことより気にすべきことが山ほどあるはずだ。
しかし、そんな私の思いはつゆ知らず、変態竜は得意げに話を続ける。
「これからお前たちとは長い付き合いになりそうだからな。その度にあの長い名前を全て呼んでいては面倒なのも十分に分かる。だから特別にお前は我のことを、親愛を込めて【ア・ソーコ】と呼ぶことを許可し__」
「【マルダ】で」
「__お?」
「【マルダ】で」
名前が長すぎるから愛称で呼ぶというのは、まあ百歩譲っていいとして、なんでよりにもよってその部分なのか。
提案された愛称を呼ぶのはどうしても嫌だったため、無理矢理私自身が思いついた愛称をゴリ押しする。
【マルダ】なら、本名の下品なところは連想されないだろうし、いくらかマシだろう。
「あ、ああ、そこまで言うならそれでもいいぞ。我は寛大だからな!」
私の圧に負けたのか、イケメン(竜)改め、マルダは私が決めた呼び名を受け入れてくれる。
この竜は存在が伝説級なのに尊大な態度をとらず、結構友好的な上に融通もきくようで、私のだいぶ失礼な言動に癇癪を起こさないほど器が広いようだ。




