本物の竜 22
「__心の友よ、我は目覚めたぞ……変態とは、人生そのものだと…!」
こうして、一人の化物がこの世に生み出されてしまった。
イケメン(竜)は、意味の分からない言葉を叫びながら右拳を空に突き上げている。
そして、肝心の化物を生み出した張本人であるルミナスは、まるで一仕事終えたかのような、疲れているのにどこか清々しい笑顔を浮かべている。
「まるで白黒の世界に色がついたような気分だ……今までこのような素晴らしい世界のことを知らずにいたと思うと、すごく損していたような気さえしてくる」
いや、色がついたどころか薄汚れてますよ、その世界。
「新しい世界を知ることに早いも遅いもありません。きっかけがいつであろうと、知りたいと思ったその時が、新しい自分へと至る大いなる一歩となるのです。私たちの業界は、いつでも門戸を開いていますよ」
「おお…!我は極めて見せるぞ!この道を!」
「はい!貴方様なら必ず頂点に至れると信じています!」
何ということでしょう。
始めこそ無自覚に全裸なだけで、一応常識的なものはもっていたはずの変態竜が、ルミナスという匠の業によって、見事本物の変態へと進化するに至ったのです。
今となっては、自らが変態であることに誇りを持っているかのように堂々と胸を張り、挙句の果てにその道を極めるとまで言う始末。
こうなってしまっては、もはや元に戻ることは永劫叶わず、私たちに出来ることはただ静かに一人の怪物…いや、変態がその道を極めてしまうのを見守るのみである。
…………一体何を考えているんだ、私は。
見ているだけだというのに、思考が変態たちに引っ張られてしまっている。
どうやらあの変態たちは、揃っているところを見るだけで私たちの思考を蝕んでしまうほどの、いわゆる猛毒のような代物らしい。
洗脳されないよう、出来る限り視線を逸らしておかなければ。
「__よし、まずは道を極める第一歩として、この邪魔な服は全部脱いでしまおうと思う!」
「いいですね!私も続きますよ!」
ゴソゴソゴソゴソ……
「……って何やってるんですか変態どもっ!!」
視線を逸らした隙に急にストリップショーを始めようする変態二人を、すんでのところでなんとか止める。
ふぅ…なんとか大事なところが見える前に止めれたようだ……
「な、なんだ急に!」
「止めないでください!乗らなきゃいけないんです!このビッグウェーブに!」
「何を言っているんですか!いいから言うことを聞きなさい!」
ゴチンッ!ゴチンッ!
「いたっ!?な、何をする!?」
「あぁっ…♡メアリー様…そこは…♡」
尚も脱ごうと抵抗する変態たちの頭上に、それぞれ拳を落として黙らせる。
なんだビッグウェーブって!
そんなものに乗らなくてよろしい!
っていうか、ルミナスは殴られているはずなのになんで恍惚とした顔をしているんだ?
そこはって…私は別に変なところは触ってないぞ…?
触ってない…よな?
あまりのルミナスの変態じみた反応に、間違って変なところに触れてしまったんじゃなかろうかと疑ってしまう私であった。




