本物の竜 19
「__なんだ、お前たちはこんなものを気にしていたのか」
イケメン(竜)は、初めて着た衣服を不思議そうにいじりながらそんなことを呟く。
あれからなんとか説得を果たし、イケメン(竜)は私が渡した黒色のスーツのようなものを身につけている。
もちろん、私が男物の服なんて持っているはずがないので、ルミナスに言ったら変な道具を取り出して作り出していた。
その道具の名前は【どこでもお着替えくん】というらしい。
いつでも服が作り出せるなんて、ちょっと便利そうだ。
「ああ……私はなんということを…」
そんな中、私は先ほど言ったことに対して猛烈な後悔に襲われていた。
(淑女たる私があのような下品ではしたないものの名称を連呼してしまうだなんて……!)
後悔しすぎて膝から崩れ落ち、四つん這いの状態になりながら先ほどの自身の醜態を思い出して悶える。
「いくら目的のためとはいえ、あのような言葉を皆の前で言えるなんて…!このルミナス、非常に興奮し…いえ、感服致しました!」
そんな落ち込んだ私に、ルミナスが元気づけようと励ましの言葉をかけてくれる。
……ん?なんか今、変なこと言ってなかった?
「ねぇ、〇〇〇ってなにー?」
そして、コケは無知であるが故に無慈悲な質問を私に投げかけてくる。
……止めろ、その質問は私に効く。
「……あのー、お気持ちは分かるのですが、そろそろ話を進めたほうがいいのではないでしょうか…?」
そこへ、スターシがおそるおそる私に提案してくる。
確かに、こんなことで文字数を取りすぎるのは良くない。
私は後悔で身体がバチクソ重くなっている中、身体に鞭打つような気持ちで立ち上がる。
「うぅ…あー……とりあえず、変態竜は__」
「おい。ちょっと待て」
「なんですか、藪から棒に…まだ話の途中ですよ?」
人が頑張って自身の犯してしまった過ちから立ち直ろうとしているのに、このイケメン(竜)が話の腰を折るものだからせっかくの勢いが削がれてしまう。
一体何が問題だと言うのだろうか?
「お前が失礼なことを言うからだろう。偉大な竜に対して変態とは何事だ」
「あんなに局部を晒し、それだけで飽き足らずその局部を振り回し見せつけるなど、変態と言わずになんと言うんですか?」
「それはお前たちの価値観だ。我は元々裸で過ごすのが普通なのだ。お前たちの基準を押し付けるでない」
この自称偉大な竜(笑)は、自身の呼び名に大層ご不満がある様子。
「はぁ……分かりましたよ。ではなんとお呼びすればいいんですか?」
「フッ…いいだろう。我の名前を知っているものは天上にいる三神だけなのだが、特別に教えてやろう」
分かったから、もったいぶらないで早く教えて欲しい。
変態でないなら一体なんなのか。
「偉大なる我の名は……
【ア・ソコーガ・マルダ・シー】だ!」
「…………は?」
今なんて言った?
「なんだ、聞こえなかったのか?我の名は
【ア・ソコーガ・マルダ・シー】だ!」
「………………」
やっぱり変態だった。




