本物の竜 16
「……ん?どこかで見た覚えがあると思ったが、お前月の神か?久しいな」
……ゴホッゴホッ…え、なんだ、こいつもルナの知り合いなのか…?
ということは、やはり裏の事情で確定のようだ。
いつもの解説者がいないことだし、いろいろと話を聞きたいところだが、謎の臭気により今は口を開くことが出来ない。
なんとか鼻と口のなかの臭いを消さないと……!
「……いや、前見た時よりも幼くなっていないか?というより、魂が……お前、妹の方か?何故そんな見た目をしている」
ぐわーっ!追撃が来たぞーっ!
…もう無理!耐えられない!
臭すぎて返事をするどころじゃない…!
絶対これアレの臭いだ…間違いない…!
一刻も早く止めないと命に関わるぞ…!
「……ん?どうした?」
「…………さいんです…」
「ん?なんだ?」
「臭いんですっ!貴方の口臭が!今すぐその口を閉じてくださいっ!」
「お、おお……」
私のものすごい剣幕に、あの竜も少し気圧されている。
「どうせ何万年とか眠ってたんでしょう!?口の中が熟成されてとんでもないことになっているんです!それがそんな巨大な口から放たれるんですからたまったものではないんですよ!」
「……億は過ぎている気はするが…」
「そんなことはどうでもいいんです!それどうにか出来ないんですか!?このままだと私、頭がどうにかなってしまいそうです!」
「……………」
私の悲痛な訴えをどう思ったのか、白けたような目つきで竜は静かに口を閉じる。
そして、竜の身体の中にある莫大な魔力が動き出すのを感じた。
(……もしかして怒りましたか?)
あれだけ失礼なことを言ったのだ。
さすがに頭にきたのかもしれない。
そう思った私は、全身に魔力を巡らせると臨戦態勢をとる。……っうぷ。
「……別に何もせん。黙って見ていろ」
そう言うと、竜の身体が淡く光り出す。
吐きそうになっている私を尻目に、淡く発光した竜はみるみる内ににその形を変化させていく。
すごいスピードでどんどん小さくなっていき、あの巨体が十分もしない内に普通の成人男性くらいの大きさにまで縮んでしまった。
というか……淡く発光しているシルエットそのものが、縮んでいる間に竜から人間へと完全に変化している。
「……おや?これと似たような光景をつい最近見たような…」
確か、コケが人間に変身する時もこんな感じだった気がする。
その時、淡く発光していた光が収まっていく。
光が収まり中から現れたのは、ある意味予想通りの姿だった。




