本物の竜 11
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「__いやー、やっぱりデカいですねぇ」
私は空を見上げるように真上に視線を向ける。
そこには、雲を突き抜けるほどの巨大な竜の頭、その顎の部分が見えていた。
今、私たちがいるのは竜の右前脚の爪先辺り。
その大きさは想像を絶するほどで、爪先が城と見紛うほどの大きさをしている。
ハッキリ言って規格外だ。
「それにしても寒いです。やはりもう少し厚着してくるべきでしたか……ってこれは…?」
魔力を身にまとい耐寒性を高めてはいるが、やはり巨大な山脈の山頂。
それだけで寒さをしのぎ切れるはずもなく、魔力を貫通して肌を刺すような寒さがときおり身体を通り抜ける。
だがそのとき、私の周囲を暖かい空気が包み込むのが分かった。
「と、とりあえずこれで寒さはしのげると思いますが…これからどうするんですか…?」
周囲を暖かくしてくれたのはスターシだった。
私が転移魔法で飛ぶ直前、自分も一緒に行くと覚悟を決めたような顔をして言っていたのだが、いざついて来てみるとそのあまりの巨大さを間近で見て実感してしまい、恐怖が再燃してしまった様子。
今は私の左の袖口に縋りつきながら、寒さとは別の意味で震えている。
「ちょっとー。そこは私の特等席なんですけどー?」
そこに、ルミナスが不機嫌そうな声を上げながら、スターシを軽く睨みつける。
「こら、怖がっている人にそういうことを言うんじゃありません」
「ブーブー。メアリー様のいけずー」
頬を膨らませて不満をアピールするルミナス。
ちょっとうざい。
「うっ…ま、まあいいですもんねー。メアリー様の腕はもう一つあります…し?」
私が少し不機嫌になったことを察してすぐに話を変えると、スターシが抱きついている腕とは逆側に視線を向けると、思わず言葉に詰まってしまう。
何故なら、そこにはすでにコケが抱きついていたからだ。
「ちょ、ちょっと…何してんの…?」
「フフン♪早いもの勝ちー!」
ルミナスが引きつった顔でコケに尋ねると、そのコケは勝ち誇った表情でルミナスを煽った。
その言葉に、ルミナスのこめかみに青筋が走る。
「このっ!離れなさい!このアホ鳥っ!」
「イーヤーダーッ!」
コケを無理矢理引き剥がそうとするルミナスに、力を込めて抵抗するコケ。
……引っ張られて痛すぎるんだが?
「……今すぐ止めなさい。でないと…分かりますね?」
「「は、はいっ!」」
私の心情を察したのか、シュバッと一瞬で離れる二人。
その顔には、うっすら恐怖の色が見える。
「言いましたよね?二人で争うな、と」
「「はい……」」
「次、醜く争ったら……フフフッ」
「「ひっ!!?」」
おっと、おしおきの内容を想像していたら思わず笑ってしまった。
…って、なんで二人は私の顔を見て引きつったような表情をしているのだろう?
「どうしましたか?私の顔を凝視して」
「「い、いえ…なんでも……これからは気をつけますので……」」
「…?よく分かりませんが、反省したのならいいです」
二人は何やら怯えた様子で反省の言葉を口にする。
何故ビクビクしているのかは分からないが、気をつけるというのならまあいいだろう。
……それにしても、何故か先ほどから私の顔が見られているような気がするのだが、私の顔に何かついているのだろうか?




