本物の竜 7
「まあ、その分自然な笑顔が増えたように思えますし、悪いことばかりでもないでしょう。それでは、私は見つかる前にさっさと退散しますか」
ヴィサスとイーリスが魔導警察署に入るのを見届けると、魔導警察署に対して背を向ける。
私も、人間界が侵略されるという話を聞いて気にならない訳ではない。
だが、今の私はお尋ね者。
そんな私がノコノコと人前に出ていけば、侵略者である魔族と戦う前に人間と争うことになる。
そうなってしまえば本末転倒だ。
(私はすでにそういった責務から逃れた身。ここは本人たちで何とかするでしょう。仮に負けそうになったその時は……まあ、その時に考えましょう)
ここは魔導警察署の目の前。
侵略者の対応で忙しいからまだ見つかっていないのだろうが、こんな場所にいればいつ見つかるか分からない。
私は、すぐにこの場を離れようと歩き出す。
「……あのー、メアリー様ー?」
そんな時、ルミナスが申し訳なさそうな表情で私を呼び止めた。
「ルミナス、どうしました?」
「いえ……こっちに転移してきてすぐに申し訳ないんですけど、スターシが何やら慌てている様子で…今すぐ戻ってきてほしいみたいです」
「スターシ様が?」
スターシといえば、先ほど私たちを送り出してくれたはずだが、何かあったのだろうか。
「直接お話したいみたいで……もう一回戻ってもいいですか?」
「そうですか……」
どうやら、それだけ重大な問題が発生したようだ。
少し考えると、私はどうするか決めた。
「…分かりました。何が起きたのか気になりますし、戻るだけならすぐでしょう。それに、それが終わった後、こちらに戻ってくるのも貴方がいれば簡単なのでしょう?ルミナス」
「はい!お任せください!」
自信満々な表情で敬礼するルミナス。
こうして考えると、いつでもどんな場所でも行ける転移魔法ってすごく便利だなって思った。
そして、本来なら使えるだけでもすごい転移魔法をホイホイと何でもないかのように使う時空の聖女……
「…まあいいです。それでは、よろしくお願いします」
「承知っ!」
足元に魔法陣が広がり、私とルミナス、それとコケを再び眩い光が包み込む。
私は、その光に身を任せるように目を閉じた。
___そして、光が収まり目を開けると、そこは見慣れた場所、【玉座の間】だった。




