本物の竜 6
「……それで、貴方たち二人はどうするんです?」
私は残った二人に視線を向ける。
「そ、そうですね……」
「どうする?」
私が視線を向けた二人…ヴィサス様とイーリスは、少し悩むようにお互いの顔を見合わせる。
「……私たちも行こうと思います。私たちは仮とはいえ、今は魔導警察の一員です。この喧騒はおそらく、先ほどハルカ様が言っていた【コンカラーによる侵略】の影響でしょう。ならば、私たちも魔導警察の一員として、その責任を果たさなければならないと思います」
私に視線を戻すと、真剣な表情でそう言うヴィサス様。
その隣で、イーリスも小さく頷く。
「分かりました。それでは、ここでお別れですね」
「はい。ここまで送って頂き、ありがとうございます」
「アタシも、ありがとうございます」
私のお別れの言葉に、ヴィサス様とイーリスもハルカ様と同じように頭を下げながらお礼の言葉を言った。
そして、二人は私に背を向けて入口へ走り出す。
……しかし、その途中でヴィサス様が急に立ち止まる。
「…ん?どうしたの?ヴィサス」
それに気づいて、イーリスも少し進んだところで立ち止まると、ヴィサス様の方へ振り返った。
「…また、会えますよね?メア……」
不安そうな表情で、私の方に振り返るヴィサス様。
その瞳から、ここで別れたらもう会えないのではないか、という思いがひしひしと伝わってくる。
…私は、そんなヴィサス様を見てこう返した。
「……心配しなくてもまた会えますよ、ヴィー」
「め、メア…っ!」
私の返事に、パァァッと花が咲いたように笑顔になるヴィサス。
イーリスも、私とヴィサスの様子を見て微笑んでいた。
「……ほら、いいんですか?皆さんがお待ちかねですよ」
「あ、はい!」
いつまでも私を見ながら笑顔でいるヴィサスに、魔導警察署に行くように促す。
ヴィサスは慌てて踵を返すと、再び入口に向かって走り出した。
「ンフフ〜、良かったじゃない?ヴィサス〜」
「フンッ!からかわないでください!」
追いついてきたヴィサスに、イーリスはニヤニヤした顔で両手の人差し指を交互にヴィサスに向ける。
それをヴィサスは、照れた表情で跳ね除けていた。
「メアーっ!絶対また会いに行きますからねー!」
最後に、入口に入る直前、私に向かって大きな声で念を押してくる。
「はいはい、待ってますよ」
それに私は、やれやれといった感じで小さく手を振る。
過去のヴィサスは誰もが認める淑女の鏡だったはずなのに、今となってはずいぶんと変わられた。
これも、周囲の影響だろうか?
そして、ヴィサスは私が手を振るのを見て満足したのか、小さく頷くと入口の中に入っていった。
「アタシのことも忘れないでくださいねー!」
イーリスも一言だけ叫ぶと、私の反応を見ないままヴィサスの後を追って入口へ入っていった。
……おそらく、ヴィサスにいろんな意味で影響を与えているのはあいつだろうな。




