本物の竜 5
「事情は把握しました。ならば転移場所は変更です。ルミナス、転移場所をヘルメス国の東街、魔導警察署入口に変えてください」
「がってん承知の助!」
「普通に返事をしなさい」
パコッ!
「アイタッ!」
ハルカの説明に納得し、転移場所を変更するようにルミナスに伝える。
するとルミナスがおちゃらけた返事をするので再び脳天にチョップを入れる。
ルミナスは痛そうに頭を押さえた。
「あ、ありがとうございます!メアリー様!」
「別にお礼を言われるほどのことではありません。転移先を変えただけなので。それではルミナス、魔法陣を広げなさい。これでは狭くて、全員入りきれませんよ?」
「うぅぅ……あ、はい!ただいま!」
私の言葉に反応して、慌てて魔法陣を広げる。
元々転移する予定だった私たち三人を含め、追加で四人が入っても十分なくらいに魔法陣が広がる。
…え?ルミナスの扱いが雑?
いいんですよ別に。
それにほら、見てください。
ルミナスは私に雑に扱われながらも、何故か頬を染めながらニヤニヤしている。
……ね?
何故か喜んでいるのでこれでいいんです。
ちょっと気持ち悪いですけど。
「それでは、転移しますよ。皆さん、ちゃんと魔法陣の中に入りましたね?」
そう言って、私は周囲を見渡して確認する。
「大丈夫だよー!」
「私も大丈夫です」
「アタシもいつでもいいですよ」
「はい!いつでもどうぞ!」
「俺もいつでも大丈夫だ」
コケ、ヴィサス様、イーリス、ハルカ、ショーディは、それぞれ私の方に視線を向けると頷いた。
「はい。それでは、ルミナス。よろしくお願いします」
「はーい。転移魔法ー、発動ー」
ルミナスの気の抜けた口調で発動された魔法陣から眩い光が発せられる。
「……どうか、お気をつけて____」
遠くから何やらスターシの声が聞こえるが、光が強くてそれどころではない。
そのあまりの眩しさに、私は思わず目を閉じた。
そして、光が収まり、次に目を開けたその時、目の前の景色が大きく変わっていた。
「到着でーす。メアリー様の指定通り、ヘルメス国の東街、魔導警察署入口でーす」
魔導警察の制服と同じ色の紺色の大きな屋根に、【魔導警察】と金色の文字で書かれた看板が、これでもかと目立つくらいの大きさでくっついている。
その下には、五人は並んで歩いても通れそうなほど大きな入口が構えられており、遠くから見てもここが魔導警察署だと分かるような風貌をしていた。
そして、目を開けた瞬間から慌ただしい喧騒が入口の中から聞こえてくる。
「これは…!メアリー様ありがとうございます!行きますよ!ショーディ!」
「お、おう!」
その音を聞いていろいろ察したハルカは、私に頭を下げながらお礼の言葉を言うと、急いで魔導警察署の中へと走って行く。
ショーディも慌てて私に頭を下げると、ハルカを追いかけて行った。




