本物の竜 4
「「___ありがとうございます♪」」
「………はぁ」
すごく満足した表情で私にお礼を言う二人。
結局、あれから10分以上も撫でさせられ、なんだか異様に疲れてしまった。
これからは不用意にしてほしいことは聞かないようにしよう。
「さて、もういいですね?それでは帰りますよ」
満足げな二人に背を向けると、ルミナスが作り出した魔法陣へ戻る。
「お、お待ち下さい!メアリー様!」
すると、またもや私を呼び止める声が聞こえてきた。
「はぁ…次は誰ですか?」
声がした方に 視線を向けると、そこにいたのはハルカだった。
ハルカも先ほどのイーリスやヴィサス様と同じく、ものすごく焦った表情をしている。
なんだ?この人も私に何かしてほしいことでもあるのか?
「わ、私たちも一緒に連れて行ってもらえませんか?」
「…ん?連れて行く?」
しかし、ハルカから出てきた言葉は予想外のものだった。
連れて行くとは…転移魔法のことだろうか?
「……ああ、確かにここからヘルメス国に徒歩で帰るのは大変ですよね。来るのも簡単では無かったでしょうし、ここに来たのもどうせ、そこの二人に唆されたとかそんなんでしょう。分かりました。ショーディ様とハルカ様、ついでにそこの二人もヘルメス国に連れていきましょう。出来ますよね?ルミナス」
「はっ!お任せくださいっ!」
ここまで大変な思いをして来たのに、放置されてはたまったものではない。
その気持ちは何となく分かる。
私の勝手な憶測で事情を把握すると、ルミナスにまとめて転移出来るか聞く。
すると、時空の聖女だからか快い返事が貰えた。
これだけの人数を転移させるなんて並大抵のことではないはずなのに、さすが、空間魔法に特化した時空の聖女なだけある。
「あ、いえ、一緒に連れて行ってもらえることは嬉しいのですが、理由は別にありまして…」
「別に?それは何ですか?」
「あの…盗み聞きして大変申し訳ないと思いますが、先ほどスターシ様との会話が聞こえてまして……」
「ん?会話、ですか?」
スターシとの会話……一体いつの何の話だろうか?
ちょっと心当たりがない。
「あの、コンカラーとかいう新たな魔王がこの地から去っていったとお話されていたと思うのですが、それについて少し思うことがあってですね……」
「ああ、ありましたね、そんなこと」
あまり記憶にないが、確かにそんな事を言っていた気がする。
その新たな魔王がどうかしたのだろうか?
「確か、スターシ様のお話では、コンカラーは人間界を侵略しに行くと言って去られたとのことでした。ということは今、人間界はそのコンカラーの侵略に遭い、大変なことになっているはずです…!」
「……ああ、それは確かにそうですね…」
そういえば、スターシはそんなことを言っていたような気がする。
スターシ自身が人間界のことをそこまで大事に思っていないからか、話を聞いている時にはそこまで大きなことのように話さず、サラッと流されたような気がする。
そのおかげで、私の記憶にはさほど定着しなかったのだろう。




