本物の竜 3
「__おや、そういえば……」
声がした方に視線を向けると、そこには焦った顔をしたイーリスの姿があった。
「そ、そうです…!私たちがどんな思いをしてここまで来たか…!」
その横に、ヴィサス様も同じように焦った表情をして立っていた。
よく見れば、後ろにはショーディとハルカの姿も見える。
「あれー?飛んでいいんですよねー?」
「ちょっと待ちなさい。転移は一時停止です」
転移魔法を発動させようとするルミナスを一旦止めると、私は魔法陣の外へ一歩踏み出す。
「そういえば、皆さん何故ここに?」
「メアリー様が攫われたと思って追いかけてきたんですよ!」
「そ、そうです!」
私の呑気な一言に、イーリスが何やら怒ったような様子で声を荒げた。
そこにヴィサス様もすかさず追従する。
「何ですか、急に大声を出して。仮にも淑女がそんな風に声を荒げるものではありませんよ?」
「心配したんですよ!?それなのにそんな無神経なことを言われたらアタシたちだってやるせない気持ちになりますよ!」
「そうです!メアはもう少し他人の気持ちになって考えるべきです!」
なんか急に責められだした。
これは私が悪いのだろうか?
「はいはい、分かりましたから。それで、私はどうしたらいいんです?」
「アタシたちを労ってください!これでもかってくらい!」
「そうです!責任を持って私たちを甘やかしてください!」
「えぇー……」
適当に相手の要求に応えてその場を流そうとしたら、さらに面倒なことになった。
「労う?それに甘やかすって…一体どうしたらいいんですか?」
「頭なでなでを要求します!」
「あ、ズルい!私も同じものをお願いします!」
「え、えぇーー…………」
恥ずかしげもなく、堂々と私に頭なでなでを要求してくる二人。
私の目の前に二つの頭が突き出される。
「………まあ、どうしたらいいか聞いたのは私ですし、心配させてしまったようなので…これは仕方なくですからね?」
二人の頭にそれぞれ右手と左手を置くと、ゆっくりと左右に動かす。
「あ…あぁぁ……」
「ふわぁぁ………」
どこか恍惚とした表情で頬を染める二人。
……これ、そんなに気持ちいいのだろうか?
「……これー、もしかしなくても、ある意味で私たちの先輩とやらでは?」
「コケ、あんなだらしない顔を見せるのはさすがに恥ずかしいかなぁ…」
そんな二人の様子を見て、ある意味で後輩である二人は、それぞれ親近感を抱いたり、恥ずかしがったりしていた。




