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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 29

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本物の竜

ごきげんよう。



私の名前はメアリー。

ただのメアリーです。



たった今、私の半身がある目的のために永い眠りにつきました。


いや、厳密に言うと眠ったわけではありません。

ただ、私の手の届かないところに行ってしまった、というのが正しいでしょう。


それに、本人もそんなに時間はかからないと言っていましたしね。


ですが、今は私の中から気配がほんの少しだけ感じられる程度で、それも身体を共有している私だからこそ感じられると言えるでしょう。


これは、例え(ことわり)の聖女であったとしても感じ取ることは出来ないでしょうね。



それほど、ルナの存在が希薄になってしまいました。



あれほどあった万能感が、今は無くなってしまっています。


それほどまでに私の中でルナの存在は大きく、当たり前のものとして私自身に根差していたのでしょう。



ルナさえいれば、何が起きてもなんとかなる。



ルナ自身が持つ力ももちろんそうですが、あのクールそうに見えて熱く、適度なユーモアも持ち合わせ、私と一緒に世界を見て感じてくれたルナという存在が、私を真の意味で一人ではないと思わせてくれた。


知らず知らずの内に私は、ルナという存在に助けられていたのだと、こうしていなくなってから気づきました。



そして、ルナは今自身の大いなる目的のために頑張っています。


ならば、私に寂しがっている暇はありません。


むしろ、ルナが目覚めたときに、ルナがいなくても大丈夫だったと見せつけてやれるくらい、現実を充実させてやるのも一興でしょう。


……少しだけ悔しがる姿が想像できて、中々に面白いですね。



「__よし、当分の私の目標が決まりました」



ルナが目覚めたときに、ルナが悔しがるくらい私生活を充実させる。


それが、ルナが目覚めるまでの私の目標だ。



「__る、ルナ様の気配が…消えた…?」



そのとき、信じられないと言った様子で、スターシがよろよろとよろめきながら私に近付いてくる。



私がルナと精神世界で会話する時は思考加速しているため、現実世界では数秒しか経過していない。


そのため、スターシからしたら急に目の前からルナが消えたように感じたのだろう。



「ルナはある目的のために私の奥深くに潜りました。しばらく表に出てくることはありませんが、いつか目的を果たしたそのときは、再び会えると思いますよ」


「あ、そうなのですね…良かったです……」



ホッと、安心したように胸に手を当てて息をつくスターシ。


本当にルナが消えた訳じゃないと分かって安心したようだ。



「あ、スターシったら早とちりー。恥ずかしいんだー」



そこに、茶化すようにスターシのことを両手で指差すルミナス。



「うるさい。黙りなさい」



パコッ!



「ヒィンッ!」



茶化すルミナスの後ろに素早く回ると、私はルミナスの頭の上にチョップを落とす。


ルミナスは、不思議な悲鳴を上げながらその場に崩れ落ちた。



大事な人が消えたかもしれないと心を痛めているところに、人を小馬鹿にするような言動。


許すまじ。


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