私が___ですか?何かの間違いでは? 3
「せ、せめて!お側にいるだけでもどうか…!決して迷惑はかけないと誓いますので…!」
「え、側に…?」
力無く座り込んでいたルミナスだったが、何を思い立ったのか急に瞳に力が戻り、私の目の前で土下座のポーズをとって頼み込んできた。
急な変わり身に、私は困惑してしまう。
(側にって…それはコケみたいなのが増えるということですか?いや、これ以上増えるのはさすがに……)
ルミナスの言葉を聞いて冷静に考えてみたが、普通にこれ以上コケみたいな奴が増えるのは私の手に余る。
……しょうがない。
ルミナスには悪いがここは断ることにし__
「うぅ……この時だけを何千年も待っていたんです…せめてお側にいるだけでもどうか…どうか…!」
土下座のポーズから頭だけ上げて、うるうるした瞳でこちらを見上げるルミナス。
(くっ…!こういう目に弱いんですよね、私……)
思わず心が揺らいでしまう。
だがここで絆されていてはコケのときの二の舞だ。
ここは毅然とした態度でいなければ…!
心を鬼にしてルミナスのお願いを断ろうとしたそのとき、ルミナスの後ろに人影が一つ近付いてくるのが見えた。
私はそちらに視線を向けると、そこにいたのは沈痛な表情を浮かべたスターシだった。
「……メアリー様、私からもお願いします。この子は本当にこの時だけを希望に今まで生きてきました。確かに、今のメアリー様には星の神としての記憶は欠如していらっしゃるのでしょう。そんな中、急にこんなことを言われても迷惑であることは重々承知しております。このお願いが、どれだけ厚かましいお願いであるかも理解しております。ですが、失礼を承知の上で言わせてください。メアリー様、どうかこの子をお側にいさせてあげてください」
そう言って、深々と頭を下げるスターシ。
ただの同情で言っているのではなく、長い間ずっとルミナスのことを見てきたスターシだからこそのお願いなのだろう。
「……はぁ、しょうがないですね。そこまで言うなら今回だけは__」
それを見て私は心を動かされ、仕方なく受け入れることに____しなかった。
「__なんて言うと思いましたか?甘いですね。私も日々成長しているので、このようなことで簡単には流されないのです」
クルッとルミナスたちに背を向ける。
「ただでさえコケのようなアホ鳥を抱えて私の懐はすでにいっぱいいっぱいなので、これ以上抱え込む余裕は私にはありません。それに、そんな義理もないですし」
「え、え、え……?今って、仕方なく受け入れるって流れじゃなかったんですか…?」
ルミナスも、まさかあの雰囲気から断られるとは思っていなかったようで、目を白黒させている。
「何を言っているんですか。真剣に頼めば言うことを聞いてもらえるなんて、世の中そんなに甘くないんですよ」
「そ、そうです…か……」
「メアリー様……」
背を向けているから分からないが、後ろから聞こえてくるルミナスの消え入りそうなか細い声から、失意のどん底のような表情をしているであろうことが分かる。
スターシも、おそらく落胆した表情をしているに違いない。
しかし、私には関係ない。
それらを無視して歩き出す。
そして、数歩歩いたところでその場に立ち止まった。




