三聖女、一堂に会する 12
「ほ、本物…?」
そこにいたのは、紛れもないメアリー様だった。
あの髪。あの顔。あの胸。あの腰。あの脚。
あれだけ慕っていた相手なのだ。
見間違うはずがない。
光から解放されたメアリー様は、ゆっくりと地面へ降り立つ。
ただ、何故か目を閉じたままで一向に開く気配が無い。
それどころか、両手をお腹の前で組んだまま動こうともしない。
……何かがおかしい。
「め、メアリー様…?」
「おや、ルナ様ではありませんか」
「ご主人様だ!」
不思議に思ってメアリー様に話しかけると、三つの異なる声が重なる。
しかも、それぞれが違う名称で。
「え?」
「おや?」
「んぅ?」
またもや声が重なる。
声がした方に視線を向けると、そこにはスターシとコケが驚いた様子でこちらを見ていた。
(…え?今ルナって言った?確かにメアリー様の中にルナがいるけど、なんでそれを知って……)
スターシもアタシとコケを怪訝そうな目で交互に見ている。
おそらく、スターシも状況が理解出来ていないのだろう。
「この人がコケのご主人様だよ!やっと会えた!」
アタシとスターシが動きを止める中、はじめに動き出したのはコケだった。
アタシたちが言ったことなど何も気にしていないのか、飼い主が家に帰ってきたときの犬のように興奮した様子でメアリー様に突撃する。
思い切り地面を踏み切り、押し倒す勢いで飛びついた。
「____あれ?」
しかし、メアリー様は避けるどころか受け止めることもせず、コケが飛びついた勢いのまま押し倒された。
これには押し倒した本人であるコケもおかしいと首を傾げる。
まるで見た目だけの抜け殻みたいで__
「……なるほど。【創造】で作り出しただけで魂は宿っていない、ということですか…」
その光景を見て、スターシは何やら理解したのか静かに頷く。
(どういうこと…?アタシが呼んだんじゃないの?)
アタシはメアリー様に会いたいと強く願った。
だからアタシの魔法でメアリー様を召喚した……と思っていたが、実は違うのか?
【創造】……文字のままの意味なら何かを作り出すという意味だが、もしやそういうことなのか…?
すると、メアリー様の身体が急に光り出す。
それからすぐに、メアリー様の身体は端から徐々に光の粒子となって崩れ始めた。
「あ…ああっ!ご主人様!いかないで!」
空中に溶け消えていくメアリー様だった光の粒子を、必死になってかき集めようとするコケ。
しかし、崩れた光の粒子を触ることなど出来るはずもなく、メアリー様はそのまま光の粒子となって消えてしまった。




