三聖女、一堂に会する 11
(アタシたちのために、メアリー様に何もかもを捨てさせてしまった…そんな理不尽な目に遭っているメアリー様に以前の名誉を取り戻してもらうためにアタシはここまで来た…………いや、違う)
そこまで考えて、アタシはそれまで考えていたことを否定するように頭を左右に振る。
(アタシは、アタシのためにメアリー様を追いかけてここに来た。メアリー様を取り戻すために……もう一度、隣に立つために……そう、アタシが今一番欲しいものは…………)
アタシの想いが一つに集約されていく。
「メアリー様に……会いたいっ!!!」
その瞬間、アタシの目の前が急に光に包まれる。
そして、光が晴れるのと同時にその中から一本の杖が姿を現した。
柄の部分は真っ白に染まり、杖の先端には光り輝く球体が空中に浮かぶように乗っている。
その杖が現れたと思ったら、アタシの魔力が一気に杖に吸い取られた。
「あ…っ!うぅっ……ああ…っ!」
あまりの勢いに、アタシは思わず苦悶の声を漏らす。
しばらくすると、十分に魔力を吸ったのか、アタシから魔力が抜けるのが止まった。
「はぁ…はぁ…はぁ…くっ!はぁ…はぁ…」
全身から力が抜け、その場にペタンと座り込み肩で息をする。
アタシは魔力が抜かれて重たくなった頭をなんとか上に向けると、目の前に現れた不可思議な杖に視線を向ける。
(な、なにこれ……アタシこんな杖知らない…アタシが呼んだの…?)
この杖のことは前世の攻略本にも載っていなかった。
もはや、この世界はアタシが知っているものとは完全に別物になっている。
もう、前世で得たこの世界の知識はほとんど役に立っていない。
(そんなの、この世界はゲームとは違うんだから当然だけどね…でも、この杖…アタシが召喚したのならもしかして聖女の力と関係あったりして__)
スターシも魔法を使うとき、何やら見たことない杖を召喚していたし、それと同じようなものなのでは?
と、そこまで考えた時、目の前の杖が急に輝き始めた。
杖から魔力と共に光が溢れ出し、アタシの横に集まり出す。
「え、なに…?ま、まさかもしかして…!」
さっきアタシはメアリー様に会いたいと願った。
もしかしたら、この杖がそれを叶えようとしてくれているのかもしれない。
期待が膨らんでいく間に、徐々に光が何かを形作っていく。
ぼやけていた輪郭がハッキリしてきて、それが人の形をしていることが分かる。
さらに光が細かな部分も形成していくと、そのシルエットが明らかに見覚えのある姿になっていく。
そして、完全にあの人の姿を構築すると、シルエットを形作っていた光が弾け飛び、中身があらわになる。




