三聖女、一堂に会する 9
「それでは、一から説明することにしましょう」
「い、一から…ですか…?」
何だか長くなりそうな気配がして、思わず身体が緊張する。
「そんなに身構えなくていいですよ。一からと言ってもあくまで簡単にいきますので、そこまで長くなりませんから」
アタシが身体を強張らせるのを見て、微笑ましいものを見る目で口元を右手で隠しながら、優しく語りかけてくれるスターシ。
「は、はい…なんかすみません……」
それを受けて、アタシは余計に恥ずかしくなってさらに身を縮こませた。
「フフッ、それでは、この世界の成り立ちからお話しましょうか。まず、この世界には太陽の神、月の神、星の神の三柱が存在します。それぞれ、あらゆる物質、世界の法則、時間と空間を生み出したと言われています」
「…………は?」
早速、訳が分からなくなった。
物質に法則に時間と空間?
それらを生み出した…?なんのこっちゃ。
「フフッ、ざっくり言うと、三人の神が世界を作った、ということです」
アタシがすでにチンプンカンプンな顔をしていたことがバレたのか、クスクスと笑いながら要約してくれるスターシ。
なるほど、神様が三人いて、その神様たちが世界を作ったと。
「それから、創造した世界を管理するために【聖女】というものを作りました。まあ、聖女である人間そのものを生み出したのではなく、聖女としての力が宿る仕組みを作り出した、ということですね」
「……なるほど?」
あんまり理解できていないが、とりあえず神様がアタシのような聖女を作ったということなのだろう。
というか、聖女の力が宿る?
「そして、神様が三柱存在するように、聖女もそれぞれ三人選ばれます。それが私であり、そして貴方様も__」
そう言って、アタシに手を差し出す。
「__聖女はそれぞれ作り出した神の権能によって呼び名が変わります。私は月の神の聖女なので、【理の聖女】。イーリス様は太陽の神の聖女なので、【創造の聖女】となります。ちなみに、星の神の聖女は【時空の聖女】と呼ばれているんですよ」
どうですか?と、ここまで話をして理解出来ているか尋ねられる。
「なんとなく……創造ってことは、アタシは何か作ることが出来る…のですか?」
「自然にお話して頂いて結構ですよ。無理矢理口調を変えるのはストレスでしょう?」
アタシが意識して口調を変えているのを察して、自然体になるよう促してくれるスターシ。
確かに、普段敬語なんて使い慣れていなくて言葉が変に詰まったりして話しづらかった。
「そ、そう…?なら遠慮なく…それで、創造ってことはアタシもなにか作れるの?」
「はい。それぞれ聖女は自らが司る神の権能の一部を使うことが出来ます。私ならほら、このように__」
そう言うと、スターシは右手を開く。
すると、開いた右手に握られるような形で先端に純白の三日月が乗った漆黒の杖を現れる。
そして、その三日月の中心から小さな雷が飛び出し、空中で火花を散らせた。




