三聖女、一堂に会する 8
「それで質問の答えですが、お察しの通り、私は人間ですよ」
実にあっさりと口にするスターシ。
「それは同類でもある貴方様ならよくご存知なのではないですか?創造の聖女様」
「え………」
(アタシが聖女ってなんで知って……っていうか、今同類って言わなかった?)
「…おや?違いましたか?貴方様は三聖女の一人、創造の聖女様でいらっしゃいますよね?」
(え、さ、三聖女…?ということは聖女ってアタシ以外にも二人いるの?一体どうなってるのよ…!?)
聖女が全部で三人いるなんて、そんなの前世で見た攻略本にも、この世界でも教えてもらえなかった。
頭の中が纏まらない中、次々と畳み掛けるように情報が増えていく。
アタシの脳内はすでにパンク寸前だった。
「……おや、本当に知らないんですね。貴方様の神は一体何をしているのやら……いや、むしろわざと教えないことで都合良く利用しようとしているとか?」
アタシの表情を見て察したスターシが、何やら考察する。
……神?利用?一体何のこと…?
「同じ聖女のよしみとして忠告させてもらいます。もし神からの神託があったとしても信用しないことです。あ、それかいっそ私が信仰する神に乗り換えません?月の神はいつでも門戸を開いていますよ」
なんか勧誘された。
というか、話が進みすぎてついていけない。
(神って…確か太陽の神ソル…だっけ……え?それ以外にも神様っているの?)
アタシが知っているのは、聖女の魔法を使うときに唱える呪文に出てくる、あの神様の名前だけ。
他の神様も、ましてやアタシ以外にも聖女がいるなんて全く知らない。
「…ああ、そうでした。何も知らないんでしたね。いいでしょう、簡単にですが説明してあげます」
一瞬、聖女なのにこんな事も知らないのか、と思われたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
それから、スターシによる講義が始まる。
「まず……そういえば、貴方様のお名前を伺っておりませんでしたね。お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「……イーリス。イーリス・へルディン…」
「へルディン……なるほど、初代聖女様のお名前を頂いているのですね。イーリス様、とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい……」
「ありがとうございます♪」
そう言って、微笑みを向けるスターシ。
まるで初代聖女様と知り合いかのような口ぶりに、ますます疑問が深まる。
そして、スターシは周囲に視線を向けた。
「他の皆様方のお名前も伺ってよろしいでしょうか?」
「ヴィ、ヴィサス・カサンドラです」
「俺はショーディだ」
「ハルカと申します」
「コケの名前はコケだよ!」
名前を問われ、一人ずつ順に答える。
「ありがとうございます。皆様、素敵なお名前ですね」
優しく微笑むと、納得したのか再びアタシの方へ向き直る。
「さて、改めまして…まず、神が全員で三柱存在することはご存知ですか?」
「い、いや…ご存知ではないです……」
「……なるほど、人間が歴史を改竄したか、もしくは太陽の神が意図的に真実を隠したか…どちらにせよ、イーリス様がどの程度ご存知なのかは分かりました」
アタシの答えを聞いて、納得したように頷くスターシ。
(……あれ、なんだこれ…なんか妙に恥ずかしいぞ?)
そんな中、アタシは言いようのない羞恥に襲われていた。
別に知らないことを責められている訳じゃないのに、何故だか非常に恥ずかしさを感じる。




