三聖女、一堂に会する 5
「怯える?コケは何も気にしてないよ!」
このアホ鳥だけは当然、何も気にしていない。
魔物であるし、仮に囲まれたとしてもそれをどうにか出来るほどの強さも持っているからだろう。
それによく見てほしい。
「……んぅ?」
アタシの視線に気づいたのか、こちらに顔だけ振り向くとそのまま首を傾げる。
何故アタシに見られているのか、意味が分からないのだろう。
「…………なーにー?」
ほら、あんなアホ面した奴がそんなことまで考えてる訳がない。
どうせ、ご主人様に会えるーぐらいしか頭の中にはないんだろう。
「フフフッ、不死鳥様は大変ご立派ですね。私、感服いたしました」
そんなとき、スターシはコケの前に立つと優しく声をかけながら目線を合わせるために膝を抱えて目線を下げる。
「んぅ?そうでしょそうでしょー?コケはすごいんだ!」
急に褒められて嬉しくなったのかドヤ顔しながら胸をそらすコケ。
それを見て、微笑ましいものを見るかのようにニッコリ笑うスターシ。
ここだけ見たら、まるで親子のように見える。
そして、しばらくするとスターシは立ち上がり、アタシたちの方に向き直る。
「さて、いろいろ聞きたいことがあるのではないですか?この際、何でも質問なされて大丈夫ですよ。答えられる範囲で、ですけど」
そう言って、人差し指を唇に当てると片目を閉じる。
その姿が、先ほどまでの聖母のような雰囲気と違って底しれない妖艶さを感じてしまい、ギャップに思わず目を奪われてしまう。
「……えっと、それなら失礼とは思いますが、いくつかよろしいでしょうか?」
その中、いち早く復帰したヴィサスがおそるおそる尋ねる。
アタシは思わず、ヴィサスが何を言うのかと視線を向けた。
「はい。なんでしょう?」
「ここは本当に、あのマーシャス王国なのですか…?」
「はい。間違いなくここはマーシャス王国ですよ」
「で、でも、マーシャス王国があった場所はこんなところではなかったはずです。どうやって城や街を移動させたんですか…?」
「それは答えられません」
その返事に思わずビクッとしてしまう。
ヴィサスも同じだったようで、少し気まずいのか視線を下に落としている。
今思えば、答えられなくて当然だ。
なんせ、人間たちからどうやって逃げたのかを答えろと言っているようなものである。
それを素直に話す訳ない。
「ああ、お気を悪くされないでください。答えられないだけで、怒っているわけではありませんから」
アタシたちの雰囲気を察して、すぐさまフォローを入れてくれるスターシ。
その心遣いに、この人が本当に優しい人なんだと再認識する。




