三聖女、一堂に会する
…………え、アタシが?
ご、ごきげんよう。
アタシの名前はイーリス。
イーリス・へルディン。
……え?家名?
そんなものあったのかって?
……あったわよ!
一応、【へルディン】ってシャーユ王国で聖女として認められた者に与えられる爵位の一つで、伯爵位相当の地位なんだから!
……は?中途半端?
どうせなら公爵とか侯爵とかじゃないのかって?
…………バッカじゃないの?
いくら聖女だからって簡単に高位の爵位が貰えるわけないじゃない!
そういうのは昔から国にいーっぱい貢献してきた由緒正しい貴族に許されてるものであって、アタシみたいなポッと出にはこれが限界なの!
……っていうか、伯爵だって十分高いでしょ!
とにかく!聖女でもあるアタシはある使命…いや、アタシの望みのためにメアリー様を追いかけて北にある【竜の巣】をさらに越えたところまで来たのだけれど、そこで深緑色のフードをかぶった謎の奴らと、鎧を着たこれまた謎の奴らが争っているところに出くわしてしまったわ。
そして、なんやかんやあって鎧を着た方を助けて、ついでに不死者も全て倒した(アホ鳥が)ら恩返しがしたいって国に招待されたの。
他に行くところもないし、メアリー様の気配が分かるアホ鳥がその国にメアリー様がいるかもしれないって言うから、ちょっと怪しいけどついていくことにしたのだけれど…………
「___人間だ……」
「人間だ」
「何故人間が?」
その国に着いた途端、街中を歩いている間ずっと奇異の目に晒されてる、って訳。
あれから案内されて国へ入ると、まず周囲の建物がボロボロなのに気づいた。
ついさっきまで不死者たちと戦争をしてたっていう話だ。
仕方ないことなのだろう。
ただ、そんなボロボロの建物たちを復興しようと、壊れたものを片付けたり直したりしている人たちがたくさんいて、ふとその人たちに視線を向けると、その見た目にアタシは驚愕した。
「……ま、魔族………」
そこで復興作業をしていたのは、アタシたち人間と同じ理性を持ち、そしてアタシたち人間と違って特殊な身体をした、魔族だった。
(な、なんで魔族が…しかもこんなに……)
どこを見ても魔族、魔族、魔族。
人間の姿がどこにもない。
ここはかつて人間たちに滅ぼされたという、魔族の国なのではないのか?
それか、新しく魔族たちが集って新たな国を作ったとか…
どちらにせよ、ここが魔族の国であることは間違いなさそうだ。
それのせいか、先ほどからずっと周囲から訝しげな視線を向けられている。
中にはヒソヒソと、こちらに聞こえないような声量で陰口のような事を言っている魔族もいる。




