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私、公爵令嬢になりました  2

「…えっと、どうしたら?」



私は、割れた水晶を見て少し申し訳ない気持ちになる。


でもまあ、よく考えたらたまたま私の番で割れただけで私悪くないですよね。


…ですよね?



「…とりあえず、予備を持ってきてください」



係の者に予備の水晶をお願いする魔力測定士。



「さて、予備は用意してありますので次からの方はご安心ください。それよりも…」



そう言って、気まずそうに私の方を見てくる魔力測定士。


え、なに。

私に何か言いたいことでも?



「魔力の強さは水晶が割れてしまいましたので測定不能です。おそらく、水晶自体が古かったことと、フェリシテ公爵令嬢の魔力が強いことによる負荷が重なって割れたものと思われます。測定不能と言いましても、弱いわけではないのでご安心ください」



…やっぱり割れたのは私が原因だったのか…

あの水晶、弁償するとしたらいくらぐらいだろう?



「それよりも、魔力の種類の方ですが…こちらも測定不能です。普通なら光が魔法属性に合わせた色に変化するのですが…フェリシテ公爵令嬢は何の色もないただの光でしたので…」



なるほど。まあこれは私の予想の範囲内ですね。



まず、魔法属性には大きく分けて5つと1つの属性がある。


それが、【火】【水】【風】【土】【光】。

あとは、そのどれにも属さない【無属性】。


【無属性】は魔力を持つものなら練度に差はあれど全員使える。


それ以外の5つの属性は適性がなければ使うことができず、普通はこのどれかの1つ、才能があれば複数の魔法属性を持って生まれてくる。


特に【光】は珍しく、使える者はごく少数に限られる。


普通は12歳くらいになると自然に魔法を発現するので、だいたいどの魔法属性を持っているのかなんとなくわかるものだ。


しかし、私の場合はそれがなかった。


厳密に言うと、魔法自体は発現した。

身体強化などの無属性の魔法は使えたのだが、属性魔法は一切発動することができなかった。


つまり私は、()()()()()使()()()()のである。



「あえて言うなら、【無属性】とでも言いましょうか?魔力自体は強い方だと思いますので、属性魔法が使えなくてもきっと将来いい魔法師になれると思いますよ!」



引きつった笑顔を貼り付け、懸命に私のことをフォローしてくれる魔力測定士。


しかし、内心はきっと正反対のことを考えているんだろうな。



「ププッ…いくら魔力が強くても属性なしじゃあな…」


「さすがは()()()()()()()だ。これじゃあ、いい魔法師どころかそもそも魔法師として働くなんて無理だろ…」


「ね。見た目は良いから、愛人としてならチャンスはあるんじゃない?」



クスクスと、あらゆるところから私を馬鹿にする話が聞こえてくる。


無色の公爵令嬢とは私のあだ名みたいなもので、属性魔法の適性が何一つないから揶揄して()()の公爵令嬢と呼ばれるようになった。


昔から属性魔法が何も発現しなかったことからそれが噂になっており、学園に入学する前からすでに生徒たちの間では有名なようだ。


これが、実力主義の貴族社会での私の現状である。

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