追撃隊 マーシャス王国を救う 19
「そ、それでコケさん…えっと…その……」
「んぅ?どうしたの?何かあったー?」
「いえ…伝説の不死鳥に対して失礼だったんじゃないかと思いまして……」
不死鳥といえば、数々の伝説が存在する幻の巨鳥だ。
その薄紅色の羽は持っているだけで数多の幸運をもたらし、頭に生えた一房の黄金の羽は死者すら蘇えらせるという。
他の伝説にも出てくる【黄金の果実】の生産者でもあると言われ、その神秘的な力は寿命を大幅に伸ばし、あらゆる傷や病まで癒す、と。
その存在自体が伝説で語られるのみで今まで実際に見た者はいなく、実は古代人の妄想で実在しないのでは?と研究者の中で語られるほどだ。
それが今、目の前に、現実に存在している。
「しつれいー?よく分かんないけど、コケはコケだよー?今まで通りで大丈夫だよ!」
「えっ…いいんですか…?」
「うん!その方がコケも嬉しいな!」
そう言って、コケさんは私に満面の笑みを向ける。
「ほら、本人もそう言ってることだし、それでいいんじゃない?」
さらに、後ろからイーリスの背中を押す声が聞こえる。
この反応、イーリスはすでに自身の中で折り合いをつけたようだ。
というか、元から気にしていないのかもしれない。
伝説の不死鳥を前にしてこの適応力。
……実はイーリスって大物なのかも。
「……そうだな。急に態度を変えるのも変だよな」
「コケさんはコケさん…確かにその通りです。自身の出自で特別扱いされたくないのは何となくですが分かります」
ショーディ様とハルカ様もコケさんの言葉に理解を示す。
「ほら、二人もこう言ってることだし、ヴィサスだけ気にしててもしょうがないでしょ」
「……そうですね。少し取り乱してしまったようです。これから改めてよろしくお願いしますね」
「うん!よろしくね!」
笑顔で片手を差し出してくるコケさん。
私は少しはにかみながら、差し出してきた手を握り返した。
「……照れてる」
「うるさいですよ」
イーリスからのノイズがうるさいが、そのイーリスのおかげで自身の気まずい気持ちに折り合いをつけれたので、今回だけは特別に許してあげることにした。




