追撃隊 マーシャス王国を救う 15
「……つまりどういうことだ?」
散々質問されただけでなく、そのまま蚊帳の外に放置されたような状態になっている。
さすがに、フィフさんの周囲から怪訝な雰囲気が溢れているのが分かる。
きっと、あの鎧の下の顔は眉間にしわを大量に寄せていることだろう。
「あ、申し訳ありません。私たちが探している人が貴方の国にいるかもしれないと思い、少々感情が高ぶってしまったようです」
「…ふむ、探し人が我らの国に?」
「はい。その人が貴方たちの言うお客様であるかは分かりませんが、おそらく貴方たちの国にいること自体は間違いなさそうです。この周辺には、他に人が行けそうなところはないのでしょう?」
「……そうだな。それで、このお嬢さんはその探し人の気配が分かるというのか?」
「そうです。そして、その気配を感じる方向が貴方たちの国がある方角と一緒であると申しています。ここに来たのも、探している人を追ってきていたらたまたま来ただけなのです」
「…なるほど…………」
私の言葉に、思案するように指を顎の下に持っていく。
「……ふむ、事情は承知した。我らの国に探し人がいるのなら心ゆくまで探すといいだろう。望むなら、君たちをお客様に紹介出来ないか進言することも出来る」
「い、いいんですか…!?」
「うむ。だが問題があってな……」
「問題…ですか?」
「不死者の軍勢がまだ大量にいてな……」
「あ、ああ……そうでしたね…」
そう言えば、そんなことを言っていた。
国の周りに不死者の残党が残っているため、招待出来ないと言っていた。
「恩人であるし、招待したいし紹介もしたい。が、そのためにはまず不死者の軍勢をなんとかせねばな…」
今はフィフさんたちの仲間たちが、不死者たちを駆逐する作戦を実行しているらしい。
そして、同時にその作戦を囮にフィフさんたち少数精鋭部隊が不死者が生み出される場所を浄化する、というのが作戦の内容のようだった。
「浄化は君たちのおかげで無事完了した。後は残った不死者の軍勢を残らず駆逐せねば。それまで待っていてくれぬか?」
「はい、大丈夫です」
不死者さえなんとかすれば、国へ招待してくれるとのこと。
それまで待つことにした。
「……ねぇ、ヴィサス。本当に良かったの?」
イーリスが小声で話しかけてくる。
国に招待されることに少なからず心配しているらしい。
「おそらく大丈夫です。先ほどの話から考えると、メアは十中八九その国にいます。そして、そんな中メアは暴れることなく素直に国に滞在している。仮にメアの気に食わないことが起きたそのときは、必ず派手に抵抗することでしょう。でも、そんな話はフィフさんから無い。少なくとも、国に入った瞬間何か事件に巻き込まれるような犯罪者の国では無いと思われます」
「本当に?アタシたちを騙してるかもよ?」
「それこそ、私たちを騙す理由がありません。コケさんのあの魔法の威力を見た上で騙して何かしようとするなど、リスクしかないですからね。まあ、最悪メアが私たちの存在をすでに認知していて、私たちを陥れるために何かしている可能性もありますが……」
「……ありますが?」
「…その可能性は始めから考えていません」
「へぇ、それはなんで?」
「そんなの簡単ですよ。メアが他人を陥れるとか姑息な真似、する訳ありませんからね」
「ハハッ、それは言えてる」
私のどこまでもメアのことを信じているという言葉を聞いて、イーリスは静かに笑う。
「…いいわ。どうせその国にメアリー様がいることは分かっていることだし、後から潜入するくらいなら招待してもらった方が楽だしね。もし何かあれば、そのときに対処しましょ」
納得してくれたのか、イーリスはそれ以上何も言わなくなる。
そして、そんな私たちの会話を聞いていたのか、近くにいたショーディ様とハルカ様も私の方を向いて小さく頷いた。
二人とも、私の決めたことに賛同してくれるようだ。




