追撃隊 マーシャス王国を救う 14
「__おねーさん、ちょっと待って?」
「はい?」
申し訳ないが断ろうと一歩前に進んだところで、いきなりコケさんから呼び止められる。
なんだろうと振り返ると、コケさんは私に何か話すでもなく、私の横を通り過ぎてフィフさんの方に向かっていった。
(……あれ?どうしたんでしょうか?)
コケさんの不思議な行動に、私は首を傾げる。
「……おにーさんたち、一つ聞いてもいい?」
「む?君は……」
急にコケさんに話しかけられて、驚いた表情をするフィフさん。
そして、フィフさんは何か話そうとしてはそれを飲み込むを何度か繰り返す。
見た目は幼い少女のようだが、周囲を灼熱で焼き尽くした張本人でもある。
そんな幼い見た目とは裏腹に強大な力を持った相手に、どんな対応をしたらいいのか迷っているのだろう。
「……お嬢さん、どうしたのかな?」
あくまでも見た目通りに対応することに決めたようだ。
幼い少女に話しかけるように、優しい口調になるフィフさん。
「もしかして、おにーさんたちの国ってこっち?」
コケさんはフィフさんの対応を気にしていない様子。
その反応を見て、フィフさんはホッと息をつく。
そして、コケさんが指差した方向を改めて確認した。
「……確かに、マーシャス王国はこっちにあるぞ。それがどうかしたのかな?」
「やっぱり…!」
フィフさんの答えに満足したのか、何やら嬉しそうな反応をする。
国の位置に何か意味でもあるのだろうか?
そして、そんなコケさんにフィフさんは何が何だか分からず首を傾げた。
「それがどうかしたのかな?お嬢さん」
「ご主人様!ご主人様がそこにいる!」
「……?」
再び疑問符で頭を埋め尽くされるフィフさん。
そして、フィフさんには意味が分からずとも、私たちには聞き捨てならない言葉が出てきていた。
「ご主人様…ご主人様と言いましたか?」
思わず、フィフさんとの会話に割り込んでしまう。
コケさんのご主人様といえば、当然私たちの探し人でもあるメアの事だ。
そのメアが、フィフさんの国であるマーシャス王国にいる…?
「うん!感じる気配の方向が同じだもん!」
興奮した様子で答えるコケさん。
ご主人様がいるかもしれない場所が判明して、喜びが溢れてきているようだ。
その答えを聞いて、私は少し考えるとフィフさんの方に向き直った。
「…あの、失礼ですが最近貴方の国に誰か見知らぬ人とか来ていませんか?」
「む?ああ、確かに数日前にお客様を招いたと城の中が騒がしかったのを覚えている。なんでも、相当高貴なお方なんだとか。一介の兵士である私にはよく分からないことだが…」
「っ!これは、間違いないかもですね…」
フィフさんの話である程度確信する。
あのとき、私の目の前で転送されていった場所はマーシャス王国だったのだ。
何故あの時、しかもどんな理由で招待されたかは分からないが、無理矢理連れて行ったにも関わらずメアが今の今まで暴れていない事を考えると、メアにとって悪い意味では無さそうだ。
それを知って、私はメアが悪意に巻き込まれた訳では無いことに安堵の息を吐いた。




