追撃隊 マーシャス王国を救う 10
「……まあ、いいわ。気にしても仕方がないし、もしまた出てきたらそのとき考えればいいしね」
イーリスの中で折り合いがついたのだろう。
まだ不安は残っているようだが、ひとまず気にしないことにしたようだ。
「……それで、邪気はどうなりました?」
そして、私は肝心なことをコケさんに尋ねる。
「邪気…?あ!」
コケさんは最初、何のことを聞かれているか分かっていない様子だったが、少しして何のことか気づいたのか、ハッとした表情になった。
「えーっとねー……うん!ご主人様の気配が分かるようになったよ!まだ少し邪気は感じるけど」
私の意図が正しく伝わっていたようで、ムムム、と何かを探るように集中するコケさん。
そしてすぐに、ご主人様であるメアの気配を掴んだのか、笑顔で私に報告してくる。
「邪気を少し感じるということですが、まあ誤差の範囲でしょう。気配は掴めたとのことですし、早くここを離れ__」
「____君たち、ちょっといいか?」
「「「「っ!?」」」」
急に明後日の方向から声をかけられる。
私たちは思わずバッ!と声がした方に顔を向けた。
(まさか…あの人たちがまだ生きて…!?)
そうだとするとこの状況はマズイ。
不意打ちのチャンスだったはずなのに何故声をかけてきたのか分からないが、それが油断なのか慢心なのかどちらでもいい。
とにかく、すぐに臨戦態勢に入らないと…!
そう思いながら声がした方に視線を定めると、そこにいたのは予想外の人物だった。
「……鎧の人たち?」
そう言えば、この人たちも確かにいた。
途中からあのローブの二人ばかり気にしていてすっかり忘れていた。
……ということは、あの熱地獄をやり過ごしたということ…!?
一体どうやって……
私は一切警戒を緩めず、鎧姿の人たちの出方を伺う。
「あ、いや、すまない。我々は君たちの敵ではない。いきなり声をかけて済まなかった」
代表だろうか。
鎧姿の人の一人が、前に出て頭を下げる。
私はその姿を、訝しげな目で見た。
「……ならまず、武器を捨ててください」
「あ、ああ。武器を捨てよう」
代表であろう鎧姿の人は、私の要求に素直に腰にさしていた剣を地面に置く。
隣にいたもう一人の鎧姿の人も、それを見て慌てて剣を地面に置いた。
「……いくつか質問します。正直に答えてください」
「いいだろう。君たちの信用を得られるのならお安い御用だ」
「…まず、貴方たちは何者ですか?」
「私はマーシャス王国軍所属、特殊部隊隊長。名はフィフだ」
「た、隊長!?そ、そんなこと言っていいんですか!?」
私の質問に対して淀みなく答える。
そして、その答えの内容がマズかったのか、もう一人の方が驚いた反応を見せる。
(マーシャス王国……聞いたことがない国ですね…私たちが知らない間にこんなところで建国されてたんですか…そして、その国の軍の人たちで、その中でも目の前にいる人は特殊部隊とかいうところの隊長、ということですね。であれば、隣は部下ということですかね?)
頭の中をあらゆる考えがよぎる。
とりあえず、この人はこの地域に新しく建国された、マーシャス王国…?の軍の人で、しかも特殊部隊の隊長であることは分かった。
あとついでに、隣の人はその隊長の部下であることも。




