追撃隊 マーシャス王国を救う 9
____シュンッ。
私たちを覆っていた魔力の壁が消える。
その瞬間、周囲からの熱気が私たちを襲い、その熱さに思わず顔をしかめてしまう。
「……おねーさん、大丈夫?」
そのとき、横から声がするのでそちらに振り返ると、不安そうな顔をしたコケさんが上目遣いでこちらを見上げていた。
「…はい、おかげで助かりました。これはもしかしてコケさんが?」
「うん……おねーさんがいじめられてるって思ったらつい……」
つい、でこれだけの惨状を引き起こしたと言うのか。
地面が溶けるほどの高熱。
もし、魔力の壁がなければ私もあの地面と同じように溶けてなくなっていただろう。
「……いえ、おかげで助かりました。もしあのままコケさんが助けてくれなければ、今頃どうなっていたことか…」
しかし、助けてもらったことは事実。
少しやり過ぎな気がしないでもないが、相手の実力が未知数であった事から、これは【やむを得なかった】という事にしておこう。
「そう言えば、先ほど私たちを守ってくれたあの魔力の壁はコケさんが?」
「うん。ご主人様がよく使ってたから、見様見真似でやってみたら出来たよ?」
なんてこと無いように答えるコケさん。
(あの作ることさえ難しい魔力の壁を、見様見真似で完璧に再現してみせるなんて…)
しかも、あの男の一撃を何度も防ぐほどの強度。
コケさんが使う魔力の壁はもはやただの真似事ではなく、一級品レベルと言っても過言ではないほどだった。
「__あいつら、どうなったのかしらね?」
ふと、後ろから声が聞こえる。
後ろを振り返ると、そこにいたのはイーリスたちだった。
「あれだけの熱量だ。もう影すら残っちゃいないだろ」
「私も同感です。アレを食らって無事でいられるはずありません」
イーリスの後ろにいたショーディ様とハルカ様も、先ほどの魔法の威力からもう生きてはいないと思っている様子。
それは、私も同じだった。
「そうですね。あの熱を防げたとも思えませんし、おそらくそうでしょう」
死体が転がっているわけではないし、死んだという証拠はないのだが、あの状況で避けたとも考えにくい。
「……そうだったらいいんだけど、何か嫌な予感がする…」
そんな中、イーリスだけが何やら不安げな様子で呟く。
「何か気になることでも?」
「いや…こんな簡単に終わるようなやつらには見えなかったというか……いや、ただのアタシの杞憂だったらいいんだけど…」
根拠とかはないが、漠然とした不安が残っているみたいだ。
顔も隠し、さらに不死者を操る水晶まで持っていたのだ。
もしかしたら、他に何か私たちが知らない魔法や道具であの状況をくぐり抜けた可能性もゼロではない。




