追撃隊 マーシャス王国を救う 8
「……なんだぁ?どっちを見てやがる?」
私の視線が他所に向いているのに気づいた男は、視線の先を追うように振り返る。
「は?もしかしてこれ、お前がやったのかぁ?」
コケさんの存在に気づき、魔力の壁を作ったのがコケさんではないかと勘ぐる。
「……おねーさんを…………」
「は?なに?」
「おねーさんを…………」
「なんだ?何を言ってんだぁ?」
「おねーさんを……っ!」
「……なんかマズくねぇか?これ」
コケさんはずっと同じ言葉を繰り返す。
最初は意味が分からず困惑する男だったが、徐々にヤバい状況になっている事に気付き始める。
何故なら、コケさんの周囲にものすごい魔力が集まってきていたからだ。
魔力の壁の中にいる私ですら、コケさんから放たれる魔力の圧に圧倒されそうになるほど。
仮にこの魔力が全て解放されてしまえばどうなってしまうか……
「……チッ!やらせるかよ!まずはお前からだ!」
男もその可能性に気づいたのか、私のときと同じようにコケさんの前に一瞬で移動し、右腕を振りかぶる。
しかし____
「おねーさんを……いじめるなぁぁぁぁっ!!!」
その瞬間、視界が真っ白になった。
「__な、に…?_____」
一歩間に合わなかった男は為す術もなく、真っ白な輝きに包み込まれていく。
そして、その光はさらに周囲へと広がっていった。
「くっ!まさかそんな…!____」
もう一人のローブを着た女も。
「土に潜れ!」
「え、ですがこれは__」
「いいから今すぐ土に潜れ!倒れている部下たちは私が何とかする!今すぐ潜れ!」
「は、はい!____」
鎧姿の人たちも、もちろん倒れている人たちも含めて、全て平等に光に飲み込まれていく。
「な、なにが起きて…?」
視界全てが真っ白で覆い尽くされ、眩しすぎて目を開ける事も出来ない。
そして、徐々に光が収まってきたのでゆっくり目を開けると、目の前にはとんでもない惨状が広がっていた。
「……こ、これは、一体……」
周囲を囲んでいたはずの木々は消失し、地面は青白く溶け、熱気が立ち昇っている。
あり得ないくらいの熱で焼き払われた…そんな風に見えた。
「こ、こんな中何故私は無事で…って、もしかしてこれで…?」
おそらく、魔力の壁によって私はこの地獄から守られたらしい。
「……うわぁ…これはまたとんでもないわね……」
そのとき、隣から声が聞こえてきたのでそちらに視線を向けると、そこにはイーリスたちの姿があった。
イーリスたちも私と同じで魔力の壁に守られ、この熱地獄に巻き込まれずに済んだらしい。
イーリスたちが無事なのを確認して、私は安堵の息を吐いた。




