追撃隊 マーシャス王国を救う 6
「__おやおや、外しましたか」
そのとき、後ろから声が聞こえる。
私は思わず、声のする方に振り返った。
声が聞こえた方に視線を向けると、そこには濃い緑色のローブを着た、あの禍々しい水晶を持っていた女が立っていた。
「……もしや、この岩は貴方が…?」
「いえ?私ではありません」
「?」
意味が分からない。
ならば何故、あのタイミングであんなことを言ったのか。
「__チッ、当たれよクソが!」
自分ではないという言い分に訳が分からず混乱していると、さらに木々の隙間から声が聞こえてきた。
女がいる場所からさらに奥。
ガサゴソと草木に身体が擦れる音を響かせながら、木々の隙間から姿を現す。
背が非常に高く、さらにローブの上からでも分かるくらい筋肉が盛り上がっている。
相変わらず顔は女と同じでモザイクがかかったみたいに認識できなくなっており、どのような顔をしているか判別出来ない。
ただ、低い声と話し方的に、おそらく男だと思われる。
(この人も顔を認識出来なくしているみたいですね…ですが、そんなことよりも__)
何よりも目を引くのは、異常に肥大化したその右腕。
肥大化した右腕をつけた自身の身体と同等か、下手したらそれ以上の大きさをしていて、歩くことはおろか身体のバランスをとるだけでも非常に難しそうな見た目をしている。
そんな状態でふらつくこともなく、男はノソノソと女の隣に並び立つ。
「あー!あの人コケが吹き飛ばした人だー!」
隣に立っていたコケさんが、男を指差して声高らかに言い放つ。
「おぅ…さっきは世話になったなぁ?ぜってぇ逃さねぇから、覚悟してろよ?」
よほど恨みがあるのか、ネットリとした声でコケさんを脅す。
「……んぅ?別に逃げないよ?」
コケさんはコケさんで、男の脅しなど何の意にも介していない様子。
のんきに首を傾げている。
(……もう逃げられそうにありませんね…完全に目をつけられてしまいましたし…)
もう、さっきみたいに隙をついて逃げることは出来ないだろう。
ここは潔く、迎え撃つしかない。
「……ニブルヘイムを使います。みなさん、それまで時間稼ぎをお願いしてもいいですか?」
「…大丈夫なの?それを使ったらヴィサスの魔力はほとんどなくなっちゃうじゃない」
「あの二人の雰囲気は異常です。生半可な攻撃ではダメージを与えられないでしょう。強力な攻撃で一気に仕留めるしかありません」
「……いいわ。その代わり、必ず仕留めなさいよ」
「フッ、誰に言ってるんですか?私はカサンドラ公爵家始まって以来の天才と謳われる、あのヴィサス・カサンドラですよ?」
「…ハッ、アンタも言うようになったじゃない。そこまで自信があるならいいわ。二人とも、それでいいわね?」
「おう!」
「問題ありません!」
私の提案をイーリスは心配しながらも受け入れてくれる。
ショーディ様とハルカ様も、私の提案を認めてくれた。




