追撃隊 マーシャス王国を救う 5
「レプリカ…だと?」
「そうです。納得出来ましたか?」
「…………」
……よく分からないが、あの女が持っている水晶は本物ではなく偽物のようだ。
そして、今私たちから注意がそれている。
……これは、逃げるチャンスなのでは…?
他のみんなに視線を送ると、コケさんを除く全員が小さく頷く。
それに私は頷き返すと、急いでコケさんを抱えて走り出した。
「え、ええっ!?な、なに?」
「今回は出直します。邪気の件はまた後で話し合いましょう」
「で、でも、ご主人様の気配が……」
「それも含めて、です。今はとにかく逃げるが先決です」
見せびらかすように正体を明かすような奴だ。
それだけ自信があるという証拠だろうし、どんな力を隠し持っているかも分からない。
今は安全のためにも一旦仕切り直して、改めて邪気をどうするか、またはそれを無視するか決めたほうがいい。
走りながら後ろを見ると、しっかり三人がついてきているのが見えた。
「あ…!あいつら!」
「……おやおや」
そのままさらに後ろを流し目で見ると、逃げる私たちを見て驚いている鎧姿の人と、何故か余裕そうに眺めている女が見える。
(……余裕そうなのが引っかかりますが、とりあえず意表をつけたようですし、このまま逃げ切ります__っ!!?)
そんな事を考えながら走っていると、いきなり私の全身を得体も知れない悪寒が襲った。
その正体が何なのか分からないまま、何かに突き動かされるようにその場に急停止する。
すると____
______ヒュウゥゥゥゥ……ドズンッ!!!
目の前に超巨大な影が落ちてきた。
それは落ちた瞬間、衝撃で周囲の地面がグラグラと揺れ、その揺れの激しさに上手くバランスが取れず膝をついてしまう。
そして、揺れが収まった後、目の前に何が落ちてきたのか確認すると、それは小さな平屋ほどの大きさの巨岩だった。
(……これ、目の前に落ちてきた…ということは止まらずに走っていたら今頃…っ!)
最悪の想像をしてしまい、恐怖に身体がブルっと震える。
そのまま、魂が抜けたみたいにその場に座り込んでしまった。
「だ、大丈夫か!?」
「怪我はありませんか!?」
「しっかりしなさいよ!当たった訳でもないんだから!」
ショーディ様、ハルカ様、イーリスがそれぞれ私に話しかけてくる。
「んうぅんっ!コケ、一人でも立てるよ!」
そして、コケさんまでもが気の抜けた私の腕から抜け出すと、一人で立ち上がる。
「……ほら!いつまで呆けてるのよ!ヴィサス!!」
「__はっ!」
イーリスが私の名前を呼ぶ。
それをきっかけに私の意識が現実に戻ってきた。




