追撃隊 マーシャス王国を救う 4
「これはあるお方から授かったものなのですが、それはそれは特別な力があるんですよ?」
そう言って、女はその水晶を頭上に掲げる。
すると、女の後ろの方から何やらうめき声が聞こえてきた。
そして、少しするとその声がどんどん近付いてくる。
「…あ、不死者……」
木々の隙間から現れたのは、何匹もの不死者たちだった。
不死者たちは女の人の後ろに控えると、そのまま待機するように動かなくなる。
「……と、このように、不死者たちを操ることが出来るとても素晴らしいものなのです」
恍惚とした様子で語る巨乳の女。
そして、今気づいたのだが、女の顔が何やらモザイクがかかったようにハッキリ見ることが出来ない。
そこに顔があることは分かるが、鼻や口などがどんな形で顔のどの辺についているのかが全く認識出来なくなっている。
おそらく、魔法で認識出来ないようにしているのだろう。
(……不死者といい、顔を認識出来なくしていることといい、何やらきな臭い気配がしますね…そして、何よりも厄介なのは……)
「…わざわざご説明ありがとうございます。それで、十分すごさは分かったのでもう行っていいですか?」
「何を言うかと思えば…この水晶の存在に気づくような奴を逃がす訳ないでしょう?」
「ですよねー」
(やはり、わざとらしくコケさんが感じている邪気の正体を明かしてくれていると思ったら、私たちを逃がすつもりがなくなったから、という訳ですね)
逃がすつもりがなくなったとしても、わざわざ正体を明かすのはリスクでしかないとは思うが、おそらくこの女はあの水晶を与えられたことを自慢したかったのだろう。
(…必ず殺すと決めた。それならと自身の優越感のためにわざと大切であろう水晶を見せびらかす……結構いい性格してますね…)
しかも、そんなことをするということは、余程私たちを一人も逃さない自信があるのだろう。
それだけあの女が強いのか、それとも特殊な魔法が使えるのか……
「…な、何故お前がそれを持っている!?それは新たな魔王が持っていると聞いたぞ!?」
そのとき、女が持っている禍々しい水晶を見て、反対側にいた鎧姿の人が騒ぎ出す。
(…新たな魔王?何やら聞き逃してはいけない単語が出てきましたね……)
「おや?そう言えばお前たちの相手をしている最中でしたね。すっかり忘れていましたよ」
鎧姿の人が騒いでいるのを見て、クスクスと小馬鹿にするように笑う。
「…まあ、確かにその通りですよ。だからこれはレプリカ。ゆえに不死者を操ることしか出来ず、新たに不死者を生み出す力はありません」
そう言いながら、女は水晶を再び胸元に押し込む。
あのローブの中がどうなっているか分からないが、あの辺に水晶を隠せる場所でもあるのだろうか。




