追撃隊 マーシャス王国を救う
「__ま、待ってください…!急に走り出さないで……」
「クソッ!あのアホ鳥の奴どこ行った!?」
「あっちの方です!」
「あーもう!問題ばかり起こすわね!あの鳥は!」
ごきげんよう。
私の名前はヴィサス・カサンドラ。
勇者が起こした国、シャーユ王国の由緒正しき四大公爵家の一つ、カサンドラ家の令嬢にして、今は追撃隊としてメアリーが連れ去られてしまった北に向かうため、そのとちゅうにある【竜の巣】を何とか攻略したところです。
そこに至るまでの道には、想像もできないような様々な困難な待ち構えていました。
その中で大変と言われるような出来事の大半の理由…というか犯人に出会ってしまったことが私たちの不幸の始まりでした。
確かに、その犯人のおかげで【竜の巣】を攻略出来たことは事実です。
しかし、それを補って余りあるほどの破天荒さが、あの犯人にはあったのです。
それも、誰にも…おそらくその犯人のご主人様でさえ持て余したであろうその突拍子のない言動に私たちは振り回され、屈辱な目に遭うこともあれば、死にかけることもありました。
私の大事な……アレを思いっきり引っ張ったことは絶対に忘れません…!
いつか必ず償わせてやります…っ!
……ゴホン、とにかく、その犯人のおかげで【竜の巣】を越えられたのはいいのですが、少し歩いたところで急に「ご主人様の気配が消えた!」と騒ぎ出し、次の瞬間には「たぶんアレのせいだ!」と言って走り去ってしまったのです。
そして、私たちはそれを必死に追いかけている最中、という訳です。
「はぁ…はぁ……うっ!ゴホッ!ゴホッ!」
(あ、器官に唾が入って…っ!ゴホゴホッ!)
走ってる最中に息を吸った拍子に、唾が器官に入って咳き込んでしまう。
「アンタ、大丈夫?」
そんなとき、イーリスが心配そうな顔をして近づいてきて、そのまま背中を擦ってくれる。
数ヶ月前まではお互いにいがみ合っていたというのに、今ではこうやって手助けしてくれるほどに関係は改善されている。
…まあ、それもメアを取り戻すまでの間だけで、その後は正々堂々どちらがメアの隣にいるか決着をつけることになっている。
当然、世界で一番メアのことを愛している私が負けるはずありませんので、イーリスを納得させるためだけの予定調和でしかないのですが。




