緑の鬼との激闘 5
「ウィンド・カッター!ロック・シュート!」
緑色と、黄土色のローブを着たゴブリンメイジにそれぞれ魔法を放つ。
ギャッ、ギャッ、ギャッ!
それをゴブリンメイジたちは、笑いながら同じ属性で私よりも強い魔法を放ち、相殺していく。
わざわざ同じ属性で出力を上げてから打ち消している辺り、暗にお前より強いとでも言いたいのだろうか。
その後は、ゴブリンメイジたちからそれぞれ風の塊と岩の塊が飛んでくる。
「フレイム・シールド!ウィンド・シールド!」
それを私は、有利属性の魔法で迎え撃つ。
そうすれば、少ない力でも打ち消すことができるからだ。
ゴブリンメイジたちが二重詠唱を使えるのに使わないのは、私を舐めているからだろう。
そこに付け入る隙があればいいのだが…
他のゴブリンメイジ二匹とゴブリンたちは、ほとんどがレオン殿下の方に向かっている。
レオン殿下は風を身にまとい、滑るように移動することでゴブリンたちの攻撃をかいくぐり、一匹一匹を燃え盛る剣で斬りつける。
すると、切り口から一気に全身に火が燃え広がり、ゴブリンは一瞬で灰と化す。
レオン殿下は、風の魔法と火の魔法を同時に使っている。
どちらの魔法も、少しのゆらぎもなく安定していて、完全に制御できている証拠だ。
ゴブリンメイジたちも負けじと魔法を放つが、高速移動しているレオン殿下には当たらない。
しかも、あちらは二重詠唱まで使っている。
……さすがはレオン殿下です!私もこの二匹くらい…!
そのとき、一つ作戦を思いつく。
作戦というには少々拙いが、今私のことを舐めきっているあの二匹ならもしかしたらいけるかもしれない。
試してみる価値はありそうだ。
「ウィンド・カッター!ロック・シュート!」
再び、ゴブリンメイジ二匹にむかって魔法を放つ。
それをゴブリンメイジたちは、また笑いながら相殺した。
そう、避けるのではなく相殺したのだ。
その瞬間、相殺したはずの魔法の後ろから一回り小さい同じ魔法が飛んでくる。
ギャギャッ!?ギャーッ!!
急な魔法の出現に対応できなかったのか、避けることもできずそのまま二匹共魔法をもろに食らう。
その衝撃で、二匹は地面をゴロゴロと転がっていった。
「…よし!どうやら上手くいったみたいですね…」
最初は普通に魔法を放ち、その後ろに無詠唱で同じ魔法を即座に放つ。
無詠唱なので詠唱した魔法より威力が少し落ちるが、それのおかげで完全に隠れるのでむしろ都合が良かった。
普通なら、相殺などせず避けるので成功難易度の割にはあまり効果に期待できないような技だが、この二匹はわざわざ相殺してくれていたので、まんまと引っかかってくれた。
「これでこの二匹は戦闘不能。あとはレオン殿下をお手伝いしに__」
その瞬間、上の方からものすごい悪寒がした。
バッ、と思わず天井を見上げる。
するとそこには、白いローブを着たゴブリンが空中からこちらを見下ろしていた。




