スターシは耐え忍ぶ 29
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「__おやおやー?いいのかなー?こんなところで倒れちゃってー?」
「くっ……!」
ここは不死者が出現すると言われている地点。
その目の前で、謎の二人組からいきなり妨害を受け、我ら特殊部隊は窮地に陥っていた。
「た、隊長…このままでは我々は全滅です…隊長だけでも、城に帰還してください…!」
隊長である自分の隣から、弱々しい声で私を逃がそうとする部下の兵士が一人。
「何を言う…!我々は必ず揃って城に帰還するのだ!私だけノコノコ逃げることなど出来るものか…!」
「しかし…!我々はすでに残り二人になってしまいました…このままでは本当に全滅してしまいます…!」
辺りを見回すと、三人もの兵士が力無く地面に横たわっていた。
隣りにいる部下の兵士の言う通り、すでに三人の部下があの謎の二人組…その内の一人に一瞬の内に倒され、今我々はここまで追い詰められている。
もう一人は腕組みをしてこちらを観察しているのか、一向に手を出そうとしてくる気配はない。
「なぁー?そろそろトドメ、いっちゃっていいかー?」
我々の部隊を一瞬で半壊にした奴が、さらに一歩前にでてくる。
我々は、奴が近づいてくるのに合わせて、一歩後ずさる。
「……ええ、もういいですよ。敵の力がどんなものか確認したかっただけですから。しかし、拍子抜けでしたね。この程度なら、正面から堂々と潰しても良かったくらいです」
観察していただけで手を出してこなかったもう一人の方は、期待外れと言わんばかりに首を左右に振った。
「くっ…!我々を愚弄するか!いい加減正体を現せ!」
奴らの我らを馬鹿にした言い草に怒りがこみ上げ、憎々しい視線で奴らを睨みつける。
しかし、いくら奴らを睨みつけても、奴らの顔が一切認識出来ない。
二人とも全身を濃い緑色のローブとフードで覆っており、見えるのは手と脚先だけ。
だが、至近距離で向き合っているためにフードの中身である顔は確認することが出来る。
なのに、その顔をまったく認識出来ない。
何やらモザイクがかかっているような…見えているはずなのに、顔の輪郭も目の位置も、鼻の高さも唇の厚さも何もかも意識に入ってこない。
まるで、無理矢理顔から意識を外されているような…そんな気がする。
(……顔を認識できなくする魔法か…厄介なことをする…!)
心の中で悪態をつくが、そんな事をしたところで状況が変わる訳でもない。
唯一分かることは、我々を襲ってきた方が男で、観察していた方が女であることだ。
いくらローブに身を包んでいたとしても、ある程度の体型は見て取れる。
我々を襲ってきた方は背丈が高く、肩幅も広くて見えている手や脚はものすごく筋肉質に見える。
さらにあのぶっきらぼうな言葉遣いと男らしい低い声。
それらの情報から、おそらくこいつは男であろうと思われる。
そして、もう一人の観察していた方は全体的に身体が細めで、見えている手や脚は細くて綺麗な肌をしている。
ときおり隣の男と話すときは丁寧な口調でさらに声も女らしく高め。
そして何よりそのローブを押し上げる二つの豊かな双丘の存在が、こいつが絶対女であることを我々に確信させてくれる。




