スターシは耐え忍ぶ 28
「……さて、作戦の確認も済ませたところで、いよいよ作戦開始です」
私の言葉に、全部隊の空気が一気に引き締まる。
あの軽薄そうな四番隊の隊長ですら、この時ばかりは真剣な様子で構えている。
私は周囲を見渡すと、兵士たちの様子を確認して小さく頷く。
「それでは……作戦開始です!」
「「「「うおおおぉぉぉぉっ!!」」」」
私の号令が響き渡ると、一斉に兵士たちが結界に向かっていく。
私は兵士が通る大きさに合わせて結界を一部だけ解除する。
剣を抜き、振りかぶりながら走っていた兵士たちは結界が解除されるのを確認すると、そのままの勢いで結界の外にいる不死者たちに斬り掛かった。
「四番隊!後ろから魔法で援護しろ!五番隊は万が一に備えて回復の準備だ!」
四番隊の隊長から指示が飛ぶ。
その上で、自身は風魔法を巧みに使い、空を飛びながら炎魔法をいくつも不死者に叩き込んでいた。
先ほどのふざけた雰囲気から一変、今は真剣としか言いようがない働きっぷりだ。
「一番隊も負けてはいられませんよ!隊員たちよ!不死者たちを各個撃破!必ず二人一組で対応するのです!」
「二番隊もだ!必ず一番成果を上げるぞ!かといって無理はするなよー?一匹ずつ確実にヤるんだ!」
「三番隊、我らは成果に固執することはない。ただ確実に、任務を遂行する。すべてはマーシャス王国のために」
四番隊隊長のやる気に当てられ、他の隊長たちもさらに熱意が高まる。
それに合わせて、各隊の兵士たちも士気が高まっている様子。
各地で叫び声を上げながら、不死者に斬り掛かっていくのが見える。
そして、意思があるのか分からないが、不死者たちも負けじと兵士たちに群がっていく。
「……大丈夫そうですね。不死者たちは完全に釘付けになっています。それでは、特殊部隊…」
「はっ」
私の呼びかけに静かに答える特殊部隊の隊長。
そして、その後ろに控える四人の兵士たち。
この部隊は、隊長含め総勢五名の超少数精鋭部隊なのである。
「私たちの命運は貴方がたにかかっています。しかし、だからといって決して無茶をしてはいけませんよ。任務達成が困難な場合は必ず戻ってくること。命さえあれば、何度でもやり直せるのですから。分かりましたね?」
「はっ、承知しました」
私の言葉に隊長含め、特殊部隊の兵士たちは一様に敬礼する。
「よろしい。それでは……お願いします…!」
「承知しました…!」
静かに、それでいて力強く返事をすると、特殊部隊の兵士たちはまるで煙のように消えていってしまった。
私たちの中でも特に隠密に優れた五人。
たとえ先ほどまで目の前にいたとしても、どこに行ったか全く分からないほどの隠密魔法。
これだけの使い手たちならば、きっとこの困難な任務も無事にやり遂げてくれるはず。
「……託しましたよ」
私は、今回の作戦が無事上手くいくように祈りを捧げた。




