スターシは耐え忍ぶ 23
__ピリッ!
「っ!今のは…?」
兵士たちと談笑しながら城へと戻っている最中、急に違和感が私を襲った。
……この感覚は…結界が…破られた?
「__た、大変です!聖女様!」
そのとき、ものすごく慌てた様子で城の方から別の兵士が走ってきた。
「ど、どうしたのです…?」
嫌な予感がして、こちらに走ってきた兵士にそう尋ねる。
すると兵士は慌てて居住まいを正すと、私の前で綺麗に直立して報告を始める。
「報告します!南の結界付近で不死者が発生しました!その数は千体以上になると思われます!」
「ば…馬鹿な……そんなことが…!」
ということはつまり…さっきの違和感の正体は…!
「マズイです…!今すぐ城に戻り守りを固めます!」
「そ、それはつまり…?」
私の慌てように、一緒に戻っていた兵士の一人が察したようにおそるおそる私に尋ねる。
「不死者がなだれ込んできます!国民の安全を最優先に!城の周囲には絶対に近づかせてはいけませんよ!」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「__状況は?」
「報告します。不死者は変わらず城の周囲を取り囲み、以前突撃を繰り返しております。数も増え続けており、兵士たちが交代で迎撃にあたっていますが、数が減る気配はありません。不死者が出現する地点もいまだに判明しておらず、苦しい状況が続いております」
「……そうですか…」
あれから五日が経ちました。
結界の内側に不死者の侵入を許してしまい、城の周囲を取り囲まれてしまうという失態を犯してしまいました。
苦肉の策で結界を一時的に城の周囲に狭め、小さくした分強度を上げて対応していますが、数は増え続ける一方。
ルミナスから借りた道具で浄化武器を増やし、兵士たちに交代で不死者を狩ってもらっていますが、焼け石に水状態。
増える速度のほうが早くて、全く数を減らすことが出来ません。
幸い、結界を城の周囲に縮小したおかげで私の魔力が自然に回復するのと消費が釣り合うようになり、結界が今すぐ破られることがないのが唯一の救いですが…
このまま不死者の数が増え続け、それによって結界の魔力消費が大きくなっていつ私の魔力の自然回復量を上回るか分からず、予断を許さない状況であるのは言うまでもないでしょう。
当然、結界の維持に魔力は全て回しているので、私自身が外に出ていく訳にもいきません。




