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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
幕間 16
472/480

スターシは耐え忍ぶ 22

「こ、これは……」



見たこともないその光景に兵士たちは困惑し、思わず足を止めてしまう。



「足を止めるな!」



そんな兵士たちに(わたくし)から叱責(しっせき)が飛ぶ。



「足を止めるな!勇敢なる兵士たちよ!希望はもう目の前だぞ!」



(わたくし)の言葉を聞いて、兵士たちは前を向く。


すると、少し進んだところに不自然に不死者(アンデッド)がいない場所があった。


地面から不死者(アンデッド)特有の青白い手が飛び出しているのがいくつか見える。


あそこが不死者(アンデッド)が湧く地点に違いない。



「あそこが不死者(アンデッド)が出現する場所だ!あそこを浄化すれば我らの勝利だ!ゆけ!その手に持つ浄化の剣で不死者(アンデッド)を元から断ち切るのだ!」


「う……うおおおぉぉぉぉっ!!」



(わたくし)の声に反応して、一人の兵士が浄化の剣を片手に飛び出す。


それに続いて、他の四人の兵士たちも次々に飛び出していった。



「そうだ!そこを壊せば我々の勝利だ!勇敢なる兵士たちの力を見せつけてやれ!」


「うおおおぉぉぉぉっ!おりゃあっ!!」



地面にへばりついたまま動かない不死者(アンデッド)たちを踏み越え、一番初めに飛び出していった兵士がついに不死者(アンデッド)が湧く地点にたどり着く。


そして、走ってきた勢いのまま浄化の剣を地面へと叩きつけた。



「おらぁっ!」

「壊れろっ!」

不死者(アンデッド)ごときが二度と逆らうんじゃねぇっ!」

「◯ねぇぇぇぇっ!!」



出遅れた兵士たちも一斉に地面に浄化の剣を叩きつけた。



__ピカッ!シュウゥゥゥゥ……

____ピシッ…ピシピシピシッ!ドガァンッ!!



その瞬間、浄化の剣が一際輝いたかと思うと、地面へと吸い込まれるように光が消えていく。


そして、地面が地響きと共にひび割れ始めたかと思うと、中心から吹き出すように光が溢れ出してきた。



グオォォォォォォ…………___



溢れ出した光が、周囲の不死者(アンデッド)たちを軒並み浄化していく。



「……これで終わったのか?」



兵士の一人がそんなことを呟く。


その頃には周囲の不死者(アンデッド)たちは全て浄化され、一匹も残ってはいなかった。



「……あ、光が消えていく」



剣が纏っていた浄化の光が徐々に消えていく。


役目を終え、元の普通の剣に戻っているのだろう。



「…(わたくし)たちの勝利です!みなさんのおかげで不死者(アンデッド)の脅威は去りました!本当にありがとうございます!」



これ以上不死者(アンデッド)が出てこないことを確認した(わたくし)は、兵士たちに(ねぎら)いの言葉をかける。



「いえいえ、我々は職務を全うしただけですから」



兵士の一人が謙遜(けんそん)か、そんなことを口にする。


他の兵士たちも同じ気持ちなのか、全員静かに頷いていた。



「…そんなことはありません。貴方たちはよくやってくれました。本当に感謝しているのですよ?」


「…そこまでおっしゃるなら、何か特別なことを期待してもよろしいので?」



兵士の一人が少し冗談っぽくそんなことを言い出す。



「あ!なら特別休暇が欲しいです!」

「ボーナスも捨てがたい…」

「いっそ、どちらもというのは可能なのでしょうか?」

「はい!はい!聖女様とデートしたいです!」



それに続いて、他の兵士たちも冗談に乗っかるような形で(わたくし)にリクエストしてくる。



「フフッ、いいでしょう。特別休暇とボーナスを支給します。あ、でも(わたくし)とのデートは駄目ですよ?」


「やったぁぁぁっ!」

「言ってみるもんだな!」

「何しよっかな!何しよっかな!」



兵士たちは、思いがけない報酬に喜びの声を上げる。



「うぅ…断られてしまった……」



若干、一名を除いて。



「おいおい、まだ諦めるのは早いって!」

「とりあえず今日はパーッと飲みに行こうぜ?」

「俺たちが奢るからさ!」



断られて落ち込んだ兵士を他の兵士たちが(なぐさ)める。



「……さて、それでは帰りましょうか」



結界を閉じ、討ち漏らした不死者(アンデッド)がいないことを確認して、(わたくし)たちは城に戻るために歩き出した。

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