緑の鬼との激闘 3
「ヴィサス嬢!」
「はぁ…はぁ…はい…!限定解除…っ!」
あれからどれくらい経っただろうか。
息が切れて意識が朦朧としてきた。
しかし、ゴブリンたちはまだまだいる。
メアリー様が私たちのために命をかけているのに、その私がこんなところで諦めるわけにはいかない。
力を振り絞り、杖を地面に突き立て、支えにしてなんとか立つ。
「大丈夫か?ヴィサス嬢」
「…は、はい…!なんとか…っ!」
レオン殿下が心配して駆け寄って来てくれる。
普段なら大歓喜ものだが、今はそんな余裕は全く無い。
「クソ!ポーションは傷を治すことは出来ても魔力を回復させることは出来ない…いったいどうしたら…」
魔力を回復させる薬はポーションよりも貴重で、王族ですら簡単には手に入らず、レオン殿下も今は持ち合わせていない。
そして、その間にもゴブリンたちからの猛攻は続く。
ギャーッ!ギャーッ!
ゴブリンたちも、この障壁の破り方を理解しているらしい。
地面を掘って土を用意し、それを固めて障壁に投げつけている。
障壁もただで張り続けられる訳じゃない。
発動している限り魔力を消費し続ける上に、障壁に何か異物が入ると、それを切り刻む度にさらに魔力を追加で消費してしまう。
なので、この障壁を破る方法は意外に簡単で、適当なものを障壁の中にいっぱい入れてしまえばいい。
そうすれば、障壁が勝手に入れたものを切り刻み、魔力も一緒に無くなっていく。
そうやって、魔力が切れて障壁が無くなるまで続ければいいだけだ。
それがわかっているのだろう。
ゴブリンたちはその辺のものを次から次に障壁に投げ入れている。
おかげで、魔力切れ寸前だ。
でも…私は…まだまだやれる!
「私は…っ!まだまだいけます…!あっ!」
ガクッ、と思わず片膝をついてしまう。
「無茶をするな!」
「でも!私が今障壁を解けばゴブリンたちがなだれ込んできます!休むわけには参りません!」
「し、しかし……!」
「レオン殿下!私のことは構わずできるだけゴブリンたちを減らしてください!」
「……わかった。俺も俺にできることを精一杯やってくる」
「はい…それでこそレオン殿下です…!」
再び飛び出していくレオン殿下を、無理やり作った笑顔で送り出す。
ここが踏ん張りどころだ。
気をしっかり持てよ、私…!




