追撃隊 竜の巣を攻略する 8
「__あ、反応ありました!」
あれからさらに三十分。
分かれ道を曲がって緩やかな坂を登っていると、ついにハルカ様からそんな報告が上がった。
心なしか、声色が少し元気なように聞こえる。
「反応とは、メタルアントですか?」
「おそらく…遠すぎて断定は出来ませんが、探知できる範囲ギリギリのバラバラの位置で三匹ほど反応しました。しかし…やはり少ないですね」
「もう少し進んだら徐々に増えてくるでしょう。そろそろ、メタルアントに接触しないように注意しながら進んで__」
「__え、急に…これはやはり……」
そのとき、ハルカ様の様子が急におかしくなる。
そして、そのまま考え込むように右手を口元に当てて顔を少し伏せた。
「…どうしたのですか?何かあったのですか?」
「あ、いえ、申し訳ありません。ただ出口と思われる場所が見つかったのですが……」
「え、そうなの!?ここからどのくらいで!?」
ハルカ様の様子が明らかに変だったので私がそう尋ねると、ハルカ様は申し訳なさそうに答えた。
すると、その内容を全て聞き終える前にイーリスが興奮してハルカ様に追い打ちをかけるように問い詰めた。
「あ、はい。出口は確かに見つかりました。場所はここからずっと一直線に進んで行くと出口と思われる場所に出られます」
「おー!やったー!もう少しで出られる!」
ハルカ様の答えに、イーリスが歓喜の声を上げる。
しかし、出口が見つかるという喜ばしい報告のはずなのに、ハルカ様は先ほどから歯切れの悪い話し方で少し不自然に感じた。
これはもしや……
「ですが、それだけではないのですね?」
「はい……その出口なんですが…メタルアントの群れが異常とも言えるほどに集まっているようです……」
「やはり…そうでしたか……」
「え?え?どういうこと?」
先ほど予想していた最悪のパターンが現実になりましたか……
私とハルカ様が最悪とも言えるシナリオが現実になったことを悟って意気消沈するなか、イーリスだけは理解出来ていないのか顔にハテナマークを浮かべたまま首を傾げている。
「はぁ……お忘れですか?始めのほうで言っていたでしょう?メタルアントの巣のはずなのに探知に引っかからない、と」
「うん、それは覚えてる」
「ならばこれは覚えていませんか?もしかしたら、反対側で戦闘しているかもしれないとも言っていたでしょう?」
「あ……ああっ!確かに言ってた!でもそれがどうかしたの?」
「…メタルアントたちは普段集団で活動するのですが、それもせいぜい五匹から十匹前後で、常に巨大な群れを作って動いている訳ではありません。しかし、唯一あることが起きたときだけは、巣の中にいるメタルアントのほぼ全てが一個の巨大な群れとなって動くときがあるのです」
「へ、へぇー……それで、それはどんなとき…?」
思わず、それがどんな状況なのか想像してしまったのだろう。
引きつった表情でおそるおそる私に尋ねるイーリス。
「……巣が何者かに侵略されそうになったとき、です」
そう、メタルアントは巣が何者かによって侵略を受けた場合、それを防ぐために一気に巣の入口に集まって全員で侵略者を撃退しようとする習性がある。
そして、それがこの道を真っすぐ進んだ先で起きているのだ。
このまま進めばその侵略者とメタルアントの群れと戦闘に巻き込まれ、私たちは呆気なく群れに押しつぶされていたことだろう。




