絶対に許しません 絶対です 17
「いいな、すごくいい。もっともっと楽しませろ!」
武器を壊されたというのにむしろ興奮している。
悔しくないのだろうか?
先程の一撃で、周囲に隆起した土の壁も崩れて壊れていたので、再び下がって距離を取る。
「まだ力を隠しているな?どうしたら見せてくれる?」
「気持ち悪いですね。私は貴方と違って戦闘狂ではないんですよ」
「いや、先程の我の一撃を受けられるものはそうはいない。しかも、己の肉体で正面から打ち破られたのはお前で二人目だ。そして、そこまで強さを極めた奴が戦が嫌いなはずはない!強くなる理由など、他者に勝ちたい、他者より優れていたい、絶対に負けたくないという気持ちが強いに他ならない。でなければ、強くなる必要などないからだ!」
「…意味のわからない論理を並べられても白けるだけです。そういうのは自己満足でお願いします」
「…まあいい。問答はこれくらいにして、お前を本気にする方法を思いついたぞ。お前たち!!!」
外周にも響き渡るくらいの叫び声を上げるキングゴブリン。
それに反応して外周にいるゴブリンたちが再び騒ぎ始める。
あまりの騒がしさに、思わず耳を塞ぎたくなる。
「あそこにいる二人をいたぶってこい!すぐには殺すなよ!それだとつまらんからな!」
ギャーッ!ギャーッ!
外周にいたゴブリンの群れが、一斉にヴィサス様たちの方に向かっていく。
「な、なにを!?貴方!一騎打ちで勝てたら解放すると__」
「ああ、約束は守る。我とお前の一騎打ちで勝てたら解放する。まあ、決着がつくまえにあっちが死ぬかもしれんがな…」
ハッハッハッ!と高らかに笑うキングゴブリン。
「き、貴様ぁぁぁぁっ!!」
「おお、その顔!いいぞ!もっと楽しませろ!」
さっさと終わらせる!
再び魔力を全開放。
今度は一瞬ではなくずっとだ。
まだ未成熟な身体はその濃密な魔力に耐えられず悲鳴を上げている。
しかし、今はそんな事を言っている場合ではない。
一刻も早くこいつを倒さねば、ヴィサス様とレオン殿下が危ない。
絶対に許さない!
何が何でもこいつを倒す!




