密着! コケの華麗なる一日 2
「__アンタがどうしてもコケの一日が見たいって言うから教えてあげようと思ったのに!」
ごめんごめん。
「心がこもってない!アンタなんて、ご主人様のお願いがなければ相手してないんだからねっ!」
分かってる。
どうやったら機嫌を直してくれる?
「……それなら、これが終わった後ご主人様にコケがこんなにすごかったよって言ってくれる…?」
お安い御用さ。
コケさんが優秀で、卓越した素晴らしい魔物だって伝えるよ。
「……分かった。それなら許してあげる!ちゃんとご主人様にコケのすごいところいっぱい伝えてね!」
よしよし、なんとか機嫌が良くなったな。
チョロくて助かった…
「んぅ?何か言ったー?」
いや、なんでもないよ。
「そうー?あ、そういえばコケは自己紹介したんだからアンタは自己紹介しないのー?」
そっか、そうだね。
なら僕からも自己紹介させてもらうね。
僕は【ハイゴブリン】。
ゴブリンが突然変異を起こして進化した種族だ。
体躯、膂力、敏捷、知力に至るまで、全てが元のゴブリンを上回る完全な上位互換とも言える存在だ。
しかも、僕はそのハイゴブリンの中でもさらに突然変異で生まれた、知識欲に特化したゴブリン。
普通のハイゴブリンとは違い食欲や性欲があまりなく、その分の欲がほぼ全て知識欲へと集まっている。
当然、普通と違う僕はゴブリン界では爪弾き者だが、そんな厄介者である僕をボスは重宝してくれた。
そして、今はある程度の自由を許されている。
こうして、一人でここに来れていることがその証拠だ。
…………これでいいかな?
「うん!ハイゴブリンだと長いから、これからは【ゴブ】って呼ぶね!」
うん、分かった。
それじゃあ、今日はよろしくね。
まるで名付けられたみたいだが、魔物同士では名付けは起きない。
ただ、名称が変わっただけなので安心してほしい。
そして、今日は前々から気になっていたコケさんの事について教えてもらう。
僕の予想では、コケさんは普通の魔物とは違う。
……もしかしたら、コカトリスという種族から突然変異した、とか…?
それも含めて、今日は余す所なく観察していこうと思う。




